東京マラソンの人気などを背景に、ランニング人口は2080万人に増加し、各種スポーツの中でも高い関心を集めています。特に20~40代の男性の参加が多い一方で、アスリートのような走りを性急に求めすぎた結果、故障をしてしまう人も少なくありません。そんな状況に危機感を抱くのは、五輪マラソンメダリストの有森裕子さん。トップアスリートならではの深いランニング知識を基に、楽しく長く走り続けるためのコツをお届けします。
紅葉シーズンも始まり、朝晩は冷え込むようになってきました。いよいよ11月8日に、故郷・岡山で初めて開催される「おかやまマラソン」に出場します! 8年ぶりのフルマラソン。参加者のみなさんとゆっくり楽しく走るつもりですが、その模様は次回にお伝えしますね。
さて、全国各地でマラソン大会が開催されていますが、参加者の中には「脚が痛いな」「体のだるさが抜けないな」と思われている方もいるのではないでしょうか? 今回は、そうした不調を防ぐためのシーズン中のケアについてお話したいと思います。

脚に少しでも痛みを感じたら、本来なら安静にしてもらいたいところ。走りたい気持ちはよくわかりますが、走ってほしくありません! どうしても走りたいというのであれば、痛みの度合いにもよりますが、今は脚をケアする期間だと考え、練習は軽めにとどめてマッサージなどのケアの回数を増やしてほしいなあと思います。
スポーツマッサージに出向き、筋肉の張りなどをほぐしてもらいながら、自分でもできるセルフケアの方法を教えてもらいましょう。「スポーツマッサージは時間やお金がかかるので頻繁に行けない」という人も、家でのケアをしっかり続けることで、ケガの発生や悪化を防ぐことはできます。
脚が痛くなったら体とフォームをチェック!
脚が痛くなったら、自分のトレーニングを振り返って、その原因を考えてみてください。練習不足なのか、オーバーワークなのか、はたまたフォームが悪いのか…。特にフォームに関しては、鏡の前に真っ直ぐ立って全身をチェックすれば、「肩の高さが左右のどちらかに下がっていないか」「右と左の脚の太さが違っていないか」「背すじが曲がっていないか」など、何かしら気づきがあるかもしれません。

実際に走り方をチェックしてみることもおすすめします。スポーツジムや計測設備を持ったスポーツ店の中には、施設内に設置されたトレッドミルで実際に走り、専門家にフォームをチェックしてもらえるサービスを提供しているところがあります。トレッドミルの前に鏡が設置されているジムなら、走りながらフォームを自分の目でチェックできるので、体の傾きや癖などに気づき、痛みの原因の糸口が見つかるかもしれません。ともすれば、「仕事をしている時も背すじを伸ばすように気をつけよう」「片方の肩ばかりに荷物をかけないようにしよう」「太ももの筋肉を鍛えよう」などと、課題が見えてきます。
ただし、初心者の場合はそうした判断をするのが難しいかもしれません。骨格の歪みを一つとっても、先天性のものか、生活習慣が原因なのかで対処が変わりますから、ランニング教室の先生やトレーナーさんといった専門家に相談し、一緒に解決策を探してみるといいでしょう。