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有森裕子の「Coolランニング」

有森裕子 新しい時代を切り開く女性アスリートたち

偏見打破から「EQUAL PAY」へ

 有森裕子=元マラソンランナー

「EQUAL PAY!」のムーブメントを作った米国女子サッカーチーム

 今でこそ女性がスポーツの世界で活躍することは当たり前になったものの、世界を見渡すと、まだ男女間の格差を感じるような場面に出合います。

 例えば、7月にフランスで開催された女子サッカーワールドカップ。この大会では米国チームが4度目の優勝を飾りましたが、帰国後、ニューヨーク市庁舎前で行われた表彰セレモニーで、チームのキャプテンであり同性愛者のミーガン・ラピノー選手は、こんなスピーチをしています。

 「このチームにはピンクの髪の女性やタトゥーを入れている女性、黒人女性、白人女性、その間のさまざまな(人種の)女性、ストレートの女性、ゲイの女性もいる。そんなチームをキャプテンとして率いたことは最大の名誉だ」

 そんな彼女の言葉に、集まった人々は大歓声で応えます。

ニューヨーク市で行われた米国女子サッカーチームの表彰セレモニー。中央がキャプテンのミーガン・ラピノー選手。(写真:AP/アフロ)

 実は、ラピノー選手の発言に大きな注目が集まったのは、チームが優勝したこと以外にも理由がありました。ラピノー選手が率いる米国女子サッカー代表チームは、以前から、男子の代表チームよりも報酬が少なく、男女格差が生じていることに異議を唱えていて、今回のW杯の数カ月前に米サッカー連盟を提訴していたのです。

 「EQUAL PAY(男女平等賃金)」を求める彼女たちの訴えは多くの人の共感を得て、W杯優勝直後のスタジアムや、この時の祝賀パレードでは、観衆から「EQUAL PAY!」の大コールが巻き起こり、米国のみならず国際社会に大きなインパクトを与えました。私も動画でこのスピーチを見たのですが、その力強いメッセージと聴衆の熱狂に、鮮烈な印象を受けました。

 国際サッカー連盟(FIFA)の会長は、2023年に開催される女子ワールドカップで女子選手の賞金を現在の2倍にすると発表しましたが、それでも男女平等にはならないそうです。

 スポーツにおける男女の賃金格差解消を要求する彼女たちへの応援が、大きな社会的ムーブメントになっていくこの空気は、米国ならではという印象もあり、日本ではなかなか作れるものではないかもしれません。日本では、トップアスリートが政治に関してコメントをすると、「政治家でもないのに分かったようなことを言うな」という批判を受ける風潮があるように思います。

 もちろんトップアスリートになればなるほど影響力も大きいので、本当に伝えたいことは、慎重に言葉を選んで伝える義務はあるでしょう。しかし、アスリートが政治のことを語ってはいけないとは思いませんし、1人の国民、1人の人間として、ラピノー選手のように意見を持つことは大事だと思います。

 賃金格差やセクハラ、パワハラなど、女性アスリートが弱い立場に置かれるシーンがまだ残っている時代だからこそ、特に大きな実績を出した選手は、その発言力を生かし、女性アスリートとして自分の意思をしっかり持ち、責任ある発言をしていってほしいと思います。

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