関東地方の梅雨も明け、本来なら今ごろは、東京五輪の盛り上がりをここでお話しする予定だった2020年の夏。今もなお、新型コロナウイルスの問題は続いています。
長期戦が予想されていたとはいえ、三密を避ける「新しい生活様式」が推奨され、さまざまなコロナ関連のニュースが飛び交う中、心身ともに疲れている方も少なくないのではないでしょうか。今年は長梅雨による寒暖の差も激しく、体調を崩しやすくなっているかと思います。睡眠・食事・運動といった規則正しい生活を、いつもより意識していただきたいと思います。
「一律5000人」の根拠とは? 制限緩和の進め方に違和感
このような状況の中、野球やサッカー、相撲といったさまざまなプロスポーツのシーズンが始まりました。長期戦になるからこそ、そしてスポーツで生計を立てている選手やスタッフがいるからこそ、コロナ禍での新しいやり方を模索し、段階を踏みながら進めていくことは大事ですし、大賛成です。
ただ、今回のスポーツ等のイベントの観客人数の緩和に関して、屋内・屋外ともに7月10日から5000人(屋内の場合は、かつ収容人数の50%以内)まで可とし、8月1日以降は屋内は収容人数の50%以内、屋外は人数制限を撤廃するとした政府の方針の打ち出し方に、私はどこか違和感を覚えました。
段階的に社会経済活動のレベルを引き上げる必要があるとはいえ、感染者数が再び増加している中で、なぜそんなに制限の緩和を急ぐのかと。そして5000人というのはどんな根拠で出した数字なのか、納得ができるような説明もなされていないようで、腑に落ちません(注:5000人という上限はその後、感染再拡大を受けて8月末まで延期されました)。

スポーツによって、会場の規模、屋内か屋外か、換気の状況などは異なります。さらに、選手やスタッフ、入場者の体調チェックや消毒はどのようなルールの下で実施するのかなど、感染防止対策も異なるでしょう。専門家の意見の間にも相違がみられ、不確実、不確定な要素ばかりです。
そんな中で、一律5000人という数字を決めてとりあえず始めるというやり方は、私個人としては十分な段階を踏めていない動き出しのよう感じられ、「やりましょう!」という前向きな気持ちになるには、かなりの難しさを感じています。こうしたスポーツの再開の延長線上に来年の東京五輪があるのなら、なおさらこうした大雑把な基準でスタートしてほしくなかったというのが、正直な気持ちです。