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有森裕子の「Coolランニング」

有森裕子 障がい者が「支えてもらって当たり前」の世の中に

2020年東京パラリンピックが未来を変えるきっかけになるために

 有森裕子=元マラソンランナー

 実際に、東京オリンピック・パラリンピックが終われば、アスリートへのサポートを縮小する企業は少なくないでしょう。特に、障がい者スポーツは、その影響を大きく受ける可能性も否めません。東京パラリンピックでメダルを獲得しないと、自分の雇用や練習環境がなくなるかもしれないと不安に思っている障がい者アスリートは少なくないようにも思います。

 しかし、残念ですが、パラリンピックでメダルを獲得するだけでは、企業スポーツのありようはあまり変わらないように思います。大事なのは、周りが変わってくれるはずだと期待することではなく、メダルを獲得した選手自身が変わることだと私は思うのです。

ブラインドマラソンの選手は、伴走者のサポートを受けながら走ります。(C) elena castaldi-123RF

メダルを取っても周りは変わらない。大事なのは自分が変わること

 そんなふうに考えるのは、私自身が過去に似たような経験をしているからです。以前この連載でも振り返りましたが(「有森裕子 私が『プロ宣言』で手に入れたかったもの」)、1992年のバルセロナオリンピックで銀メダルを獲得した後、私はマラソン選手としての自分の価値を周囲が高く評価してくれて、目標設定やトレーニングに関する意見も受け入れてもらえるだろうと信じていました。ところが現実はメダルを獲得する前と何も変わらず、思い通りにいかないことが続きました。

 そのことが悔しくて、1996年のアトランタで銅メダルを獲得した時には、まずは自分が変わろうと思いました。そして、自分は「走ること」を生業にすると決め、自らの肖像権の管理など、「走ることで食べていく」ための権利をはっきり主張しました。おかげで年月は要したものの、女性アスリートで初のプロアスリートになることができました。これはメダルを獲得したことで周囲が変わったから実現したのではなく、自分を変えたからこそ、周囲を変えることができたのです。

 パラリンピックでメダルを獲得し、「走ること」を生業にしたいと思う障がい者アスリートがいるならば、自分はこの先、走ることやスポーツで収入を得ようと考えているのか意志を主張してほしいと思います。

 これは、オリンピアン(健常者アスリート)であっても、パラリンピアン(障がい者アスリート)であっても同じです。一生のなかで競技者として活躍できる期間は限られています。その短い期間にチャンスをつかむには、相当な覚悟と努力が必要で、そのためにも、自分が将来どのように生きていきたいのかという明確なビジョンを持つことが大事なのです。

 東京パラリンピックでメダルを獲得した後、パラリンピックメダリストとしての新しい道を切り開いていく障がい者アスリートが1人でも多く登場することを願っています。

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