7月の終わりと共に、スポーツ界でも世界水泳が閉幕し、舞台は陸へと移ります。いよいよ本日8月4日から、イギリス・ロンドンで世界陸上(第16回世界陸上競技選手権大会)が開幕します。今回は“有森目線”から、ロンドン世界陸上の見どころを少しお話しできればと思います。
五輪メダリストの実力が試される男子4×100mリレー
皆さんの中でもとりわけ注目度が高いのは、2016年リオデジャネイロ五輪で見事に銀メダルを獲得した男子4×100mリレーでしょう。桐生祥秀選手やケンブリッジ飛鳥選手といった実力のある選手たちが集まった男子4×100mリレーでは、リオ五輪銀メダルという看板を背負った日本チームが、ウサイン・ボルト選手が率いるジャマイカチームや、ジャスティン・ガトリン選手がいる米国チームといった海外勢とどのように競うのかが見所になります。日本の得意なバトンパスの技術やメダル獲得に注目しつつ、そのメダルの色にも期待したいところです。
男子100mの注目は、サニブラウン・アブデルハキーム選手でしょう。今年6月の日本選手権では、誰が9秒台を出してもおかしくない、かつてないハイレベルの争いの中、18歳という若さのサニブラウン選手が桐生選手やケンブリッジ選手といったリオ五輪銀メダリストの有力候補を抑え、10秒05という自己ベストで頂点に立ちました。
同選手は200m決勝でも20秒32の自己ベストで優勝し、末續慎吾選手以来14年ぶりの日本選手権短距離2冠を達成。世界陸上では決して簡単なことではないと思いますが、決勝進出への期待や、夢の9秒台への突入といったタイムにも注目が集まるでしょう。
川内優輝選手の豊富な経験と粘り強さに期待
そんな短距離陣に負けずに頑張ってほしいのが、男女のマラソンです。今年は男女ともに8月6日の同日にレースが行われるという珍しい競技日程。男子のスタート予定時刻が現地時間の10時55分(日本時間では18時55分)、女子のスタートは14時(日本時間では22時)とされています。少し驚いてしまう開始時刻で、特に女子のレースでは気温の上昇が気になるところですが、これが日本人選手にどのような影響をもたらすのか、注目してみたいと思います。
ランニング好きな読者の皆さんは、すでに代表メンバーをチェックされていることでしょう。男子の代表は、東京マラソンで日本人1位になり、選考競技会の中で最も速い記録を出した井上大仁選手(MHPS、自己ベスト2時間8分22秒)、別府大分毎日マラソンを2時間9分台で優勝した中本健太郎選手(安川電機、自己ベスト2時間8分35秒)、そして福岡国際マラソンで日本人1位となった川内優輝選手(埼玉県庁、自己ベスト2時間8分14秒)。
女子は初マラソンとなる名古屋ウィメンズマラソンで派遣設定記録を突破して世界陸上の切符をつかんだ安藤友香選手(自己ベスト2時間21分36秒)、同い年の清田真央選手(ともにスズキ浜松AC、自己ベスト2時間23分47秒)、五輪や世界陸上の出場経験がある重友梨佐選手(天満屋、2時間23分23秒)が出場します。
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