LSDの効用【2】 初級ランナーの心肺機能を高め、持久力を上げる
LSDの効用の2つ目は、心肺機能が高まり、遅筋繊維が増えることです。すると、激しい練習をしても疲れにくくなりますし、ケガもしにくくなります。練習の質や量を上げて乗り切るためには、スタミナや筋肉といった基礎となる土台をしっかりと固めなければいけません。練習をステップアップさせるためにも、LSDは大切な役割を担っています。
ただし、ある程度練習を積んだ中上級ランナーの場合、LSDだけでは効果的な持久力アップにはならないと思います。「LSDで持久力をつける」という考え方よりも、1つ目に紹介した「疲労回復のトレーニング」としてLSDを活用するほうがいいでしょう。
LSDの効用【3】 長い距離や時間を走り切ったという自信がつく
3つ目として、「長い距離や、長い時間を走りきった!」という自信をつける効果があります。これは、マラソン初心者には特に大事なことです。今まで走ったことのない距離を走り、未知の領域に足を踏み入れることで、「距離」への恐怖や不安が軽減されますし、「走ることが楽しい」といったモチベーションにもつながります。少しずつでいいので、10km、20kmと走れる距離を延ばしたり、1時間、2時間と走る時間を増やしていき、その自信を高めていきましょう。
長い距離を走り続けることに自信がない人は、もちろん途中で歩いても構いません。まずは、走ったり歩いたりを交互に織り交ぜながら長時間体を動かすことを目標にしてください。走る距離の割合が大きくなっていくほど基礎代謝も上がり、脂肪も取れて体のラインもスッキリしていきます。それを実感しながら息切れも少なくなってくると、もっと長い距離を走りたいという意欲につながるはずです。
歩行も食事もOKな「マラニック」って?
さらに、初級ランナーや長い距離に不安がある高齢者が安全に楽しく取り組める方法としてお勧めなのが、「マラニック」です。
「マラニック」は、「マラソン」と「ピクニック」をかけ合わせた造語。スピードは重視せず、周囲の景色を楽しみながら長い距離をゆっくりと走ります。走るスピードはおしゃべりができるほどのイメージでしょうか。「マラニック」に関して数多く執筆されている元・立正大学社会福祉学部教授の山西哲郎さんによると、息切れしない速さで、景色を楽しみながら走るのがポイントだそうです。初心者は30分が目安で、余力があれば、1時間、1時間半と徐々に時間を延ばしていきます。途中で体操やストレッチをすれば気分転換にもなります。
「マラニック」は、全国各地で数多くの大会が開催されています。順位やタイムを競わないものが多く、たまに歩いたり、食事を挟んだりしながら、仲間との交流の場にもなります。観光協会が主宰するものもあり、コース沿いの自然に触れて癒やされたり、観光地を巡ればその土地の歴史や今を知ったりする機会にもなります。距離も20km、30kmなど様々。1日かけて100km近く走る大会もあるようです。
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