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有森裕子の「Coolランニング」

有森裕子 夏のトレーニングは「リカバリー上手」を目指そう

クールダウンに軽く泳ぐのもお勧め

 有森裕子=元マラソンランナー

体の冷やし過ぎは疲労回復の大敵

 普段の生活でも、疲労をためにくくするコツはあります。まずは「冷やしすぎ」を避けること。冷房が効きすぎた室内にいると、体が冷え、だるくなってしまいます。特に膝や肘といったよく動かす関節が冷えると可動域が狭まり、動きも悪くなってケガをしやすくなります。内臓の冷えも疲れの大敵なので、冷たい飲み物はできるだけ避けましょう。私は現役時代、夏でも水やお茶は常温で飲むようにしていました。

冷たい飲み物で体を冷やし過ぎると、だるさの原因に。疲れ予防には常温や温かい飲み物がベター。(c) Cseh loan-123RF

 疲労回復には食事の工夫も欠かせません。夏場の食事は、疲労回復に役立つビタミンB1や、筋肉を作るたんぱく質を意識的に摂取し、その他の栄養素もバランスのよくとることで夏バテを防ぎましょう。

 とはいうものの私自身、夏は食欲が落ちることが多く、たくさんの量を一度に食べられずに苦労した覚えがあります。そんな時は、1回の食事の量を減らして、5回ほどに小分けにして食べていました。たんぱく質や鉄分、食物繊維などをバランスよく含む納豆は重宝した食材の1つで、細かく刻んで味噌汁に入れたりしていました。

 食欲がない時は、野菜ジュースのような口当たりが良いものを摂取することも一つの手です。しかし、常に口当たりの良いものばかり食べたり飲んだりしていると、消化器官の働きが弱くなります。旬の食材を口にし、噛めるものはできるだけ噛んで食べる。人間として当たり前の行為ですが、それを怠らないことが、夏場は特に大事です。

疲れると体のバランスも崩れてくる

 睡眠も、疲労を回復するためにとても重要です。暑さで寝苦しい夜は、入眠しやすいように冷房をかけた上で、体を冷やしすぎないようにタイマーをかけるようにしましょう。ひんやりした素材のベッドシーツやかけ布団などを利用するのもいいですね。特に慢性的な疲労が続く時は、眠りが浅い場合が多いといいます。場合によっては、専門医に診察してもらうことも必要かもしれません。

 疲れがたまると、トレーニングの質が落ち、知らず知らずの間に体のバランスも崩れてきます。バランスの崩れは思わぬケガにもつながりますので、できるだけ早い段階で異変に気付くためにも、毎朝、全身鏡で自分の体を映してみることをお勧めします。

 片方の肩が下がっていないか、猫背になっていないか、手を上にスムーズに挙げることができるかどうか。そうしたことを鏡で確認して、バランスが崩れている部位があれば、マッサージしてほぐしたり、普段の姿勢や走り方を見直したりしてみてください。

 猛暑を乗り越え、爽やかな秋を迎えたときに、気持ちよくスピードを上げて行けるよう、夏のトレーニングでは「リカバリー上手」を目指していきましょう。

トレーニング後に疲労を残さないための4つのポイント

1. トレーニングは涼しい時間帯を選び、こまめに水分補給をする
トレーニングは気温が低めの早朝や夕方以降の時間帯を選び、日中に練習するときは、室内でのジョギング、あるいはウエイトトレーニングや補強トレーニングを主体に。外を走る際は、短めの周回コースや、一本道を折り返して行き来するコースを選び、そのコース上に給水ボトルなどを置いてこまめに水分補給をする。
2. クールダウンをしっかりする
練習後、プールでゆっくり泳いで火照った体を冷やして、筋肉をほぐしたり、マッサージやストレッチで体をほぐしたり、伸ばしたりする。また各パーツを補強トレーニングで鍛えることで、練習量が多くなっても疲れにくくなる。
3. 食欲がなければ小分けにして食べたり、口あたりのよいものを食べる
一度の食事でたくさん食べられなくなれば、小分けにして食べたり、みそ汁や野菜ジュース、うどんやソーメンといった口あたりのいいものを食べたりする。
4. 冷たいものを摂りすぎないようにして、内臓を冷やさない
氷が入った冷たい飲み物は極力避ける。内臓が急に冷やされ消化器官の機能が低下するため、食欲が落ちたり、下痢や夏バテなどを引き起こす原因にもなる。

(まとめ:高島三幸=ライター)

有森裕子(ありもり ゆうこ)さん
元マラソンランナー
有森裕子(ありもり ゆうこ)さん

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

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