マラソン大会をバーチャルで楽しむ時代に
そんな中、マラソン大会に参加できないランナーのために、バーチャルに大会を楽しめる方法が登場しているという記事をいくつか目にしました。具体的には、ランナーがそれぞれ好きな場所で決まった距離を走り、GPS(全地球測位システム)機能付きの腕時計やアプリを使って記録を提出して順位が決まる「バーチャル大会」です。米国では既に開催されており、バーチャル表彰式もあるようです。日本でも、従来型の大規模な大会開催を延期し、代替としてオンライン方式のイベントを開くことを決めた大会があると聞きました。
市民ランナーが大会に参加する目的はさまざまです。目標タイムの達成を目指す人もいれば、ストレス解消や健康のため、あるいは仲間と一緒に楽しむために走っている人もいるでしょう。大会の楽しみ方は人それぞれなので、万人がこうしたバーチャル大会を楽しめるとは思えませんが、モチベーションを上げたり、他のランナーとの一体感を楽しんだりするための一つの方法として、このようなサービスが登場してきたことに、新たな時代の到来を感じます。

バーチャル大会以外でも、大会という形式にこだわらず、例えば、人数を限ったリアルなランニング教室やクリニックが全国で展開されるようになるといいなと思います。私がかかわっているランニングクリニックでは、ランニングに必要な姿勢や筋トレ、食事やサプリメントの取り方などを指導したりしています。こんな状況だからこそ、市民ランナーの皆さんが、走るために本当に大事なことへ意識を向ける機会になればと思います。
この状況で、故・小出監督なら…
マラソン大会やロードレースの延期や中止は、東京五輪代表選手をはじめとした、エリートランナーたちのトレーニングにも大きな影響を与えていることと思います。実際のレースを走る練習ができないため、五輪代表選手はもちろん、実業団選手、学生選手は、どうやってモチベーションを保ち、トレーニングを組んでいくかに頭を悩ませ、模索していることでしょう。そうしたレースは、実業団や学生選手にとっては、駅伝などの代表になるためのアピールの場でもあるからです。
来年(2021年)夏に開催予定の東京五輪のマラソンと競歩は、2021年3~5月に札幌でテスト大会を開催することが検討されています。しかし、新型コロナウイルスの世界的な終息が見込めず、モヤモヤとした日々が続きます。
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