こうした体重を計測するセルフチェックだけでなく、全身の医学的なチェックを受ける定期健診も受けていただきたいです。可能なら人間ドックを受けて隅々まで調べられると安心ですが、血液検査だけでも定期的に受けて、白血球や赤血球、血圧など一通りの数値を知っておくと、病気の早期発見や予防・対策につながります。特にランナーは貧血になりやすいため、定期的に血液検査を受けた方がいいと思います。健診以外でも、献血をすれば、ヘモグロビンなど貧血に関する数値を手軽に知ることができます。

毎日排便して腸を整える“腸活”も大事
腸内環境を正常に整える“腸活” も大事です。食事にストイックになりすぎる必要はありませんが、私自身、できるだけ加工食品ではなく、栄養価の高い旬の食材を使ったバランスの良い食事をとることを心がけています。もともと和食が好きなので、味噌や納豆、漬物などの発酵食品を自然とよく食べ、無糖のヨーグルトも頻繁に食べるようにしています。そして、きちんと毎日排便して腸を整えることを意識しています。
食事の量は腹八分目に抑え、食べた物をちゃんと消化してから次の食事をとります。夜ご飯を食べ過ぎて、朝起きてもきちんと消化されていないなと感じたら、朝食は食べません。暴飲暴食は止めて胃をきちんと休ませてあげることが、腸の調子を整えることにもつながると感じています。夏は冷たい飲み物をガブガブと飲んでしまいがちですが、白湯やお茶などの温かい飲み物を選んで、できるだけお腹を冷やさないことも、腸を整えるポイントだと思います。
こうした生活習慣で、お陰さまで腸の調子も良く、風邪も引きにくいので、私自身は免疫力向上にもつながっているように思います。「この食事内容だと、お腹の調子はどうなるか」「何をどのタイミングで食べれば体調がいいか」など、自分の体に耳を傾ける意識を持てば、自分の体質に合う食材が少しずつ分かってきます。自分の体に合った“処方せん”のようなものができれば、健康維持につながるのではないかと思います。
年齢を重ねるほど免疫力は低下していきますし、糖尿病や高血圧、がんなどのリスクも高まります。一般ランナーの方も、「自分は毎日走っているから健康だ」と自分の体調を過信せず、食事と睡眠をしっかりとり、定期的な健診を受け、体調の変化に気を配りながら暑い夏を乗り切りましょう!
有森流・健康管理の3つのポイント
- 1 毎日、決まった時間・状態で体重を計測する
- 毎朝、起床したら朝食を食べる前に体重を計測し、記録する。同じ状態で計測し続けることで、体調の変化が分かりやすくなる
- 2 健康診断(血液検査)や人間ドックを定期的に受ける
- 自分の体の状態に関心を持ち、健期的に健診を受けて、病気の対策や予防につなげる。
- 3 腸内環境を整える
- 毎日快適な排便ができるように、食べるものや量などに気をつけて、腸の状態を整える。お腹を冷やさず、ストレスを溜めないことも大事。
(まとめ:高島三幸=ライター)
元マラソンランナー(五輪メダリスト)

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。公式Instagramアカウントはこちら。