五輪マラソンメダリストの有森裕子さんが、トップアスリートならではの深いランニング知識を基に、楽しく長く走り続けるためのコツをお届けする本連載。今回のテーマは、親子で参加できるマラソン大会。「大人だけがマラソン大会を楽しむのはもったいない!」と親子での参加を応援する有森さんですが、ちょっと気になることもあるそうです。
そろそろ梅雨も明け、暑い夏がやってきます。気温がぐんぐん上がってきますので、日陰を走ったり、帽子をかぶったりして熱中症を防ぎ、しっかり水分補給をして暑さ対策をしながら、ランニングを楽しみましょう。
さて、最近のマラソン大会では、親子の部、キッズの部など、親子で参加できる部門が数多く開催されていますね。お母さんと子どもが親子マラソンの部に参加して、完走した後に、フルマラソンの部に参加しているお父さんをゴールで待っていたり、お父さんと子どもが一緒に走り、お母さんと幼児はトコトコ歩いて参加していたり…。微笑ましい光景をあちこちで見かけます。
子どもにとって適切な距離・スピードで走ること(小学生なら3~5kmぐらいのレースで十分だと思います)は、瞬発力や持久力を高め、体づくりの一環になりますので、とてもいいことです。走ることが苦手でも、親子で一緒にゆっくりとジョギングするだけでも気持ちがいいですし、楽しい休日になるでしょう。親御さんにとっても、自分自身の健康につながり、ダイエットにもなり、さらに、親子のコミュニケーションを深めることができるのが親子マラソンの魅力です。
とはいえ、良いことばかりではありません。たくさんの大会に足を運んでいると、子どもたちが生き生きとした笑顔で走る姿を数多く目にする一方で、「あ、危ない!」と思わず口に出してしまうような光景にも出会います。今回は、親子で安全にマラソン大会を楽しむために、お父さんお母さんにぜひ気を配っていただきたい点をいくつかご紹介しようと思います。

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- ずっと手を握って走ると、子どもはつらい!