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有森裕子の「Coolランニング」

有森裕子 私が「プロ宣言」で手に入れたかったもの

アスリートが自分の価値を生かして幸せになるために

 有森裕子=元マラソンランナー

 今年もいよいよ雨の季節に突入しました。外で走れる日が限られてきますが、梅雨時だからこそできる補強トレーニングなどに積極的に取り組み、ケガに負けない体づくりを心掛けてください。

「強くなった選手は、みんな幸せにならなきゃ」

 さて今回は、アスリートが自ら勝ち得た成果を糧に、自由に活動していくことについて…具体的には、アマチュア選手の「プロ化」についてお話ししたいと思います。

 前回、亡くなられた小出義雄監督との思い出を語りましたが、監督が生前、私や高橋尚子さんといった教え子たちによく話してくれたことの中に、こんな言葉がありました。

 「強くなった選手は、みんな幸せにならなきゃ」

 それはつまり、「(オリンピックでメダルが取れるくらい)強くなった選手は、それで食べていけるようにならなきゃ。だからお前もがんばれよ」という意味合いだったように思います。

 小出監督が当時、「プロ化」を念頭に置いてお話しされていたかどうかは定かではありません。監督から「プロになれ」と言われたこともありません。でも、アスリートが血のにじむような努力を重ねて強くなったら、その成果に見合う十分な対価を得て生活できるようになる未来を、一緒に夢見てくださったように思います。

 今でこそ、体操の内村航平選手や、マラソンの川内優輝選手など、アマチュア選手が「プロ宣言」をすることは珍しくなくなりました。しかし、私が現役の頃は、そうした選手は誰ひとりとしていませんでした。ロールモデルがいない中で私は、五輪メダリストとして初めてプロ宣言したアスリートになったのです。今から23年ほど前の1996年12月のことでした。

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