五輪マラソンメダリストの有森裕子さんが、トップアスリートならではの深いランニング知識を基に、楽しく長く走り続けるためのコツをお届けする本連載。今回のテーマは、近年人気が高まっているトレイルランニング。過酷なイメージがあるトレイルランですが、実は、硬いアスファルトに疲れた筋肉をほぐす効果もあるそうです。
今年も雨の季節がやってきました。梅雨入りするとしばらく外で満足に走れない日々が続きますが、梅雨のシーズンだからこそ、意識や工夫次第で普段とは違う部分を鍛えられる練習ができます。
例えば、駅や会社ではエスカレーターではなく階段を使って上り下りし、お尻(臀部)や太ももの裏(大腿後部)を鍛えたり、家では腹筋や腕立て伏せをしたり…。「梅雨=体づくりの時期」と見なせば前向きに練習に取り組むことができ、梅雨が空けた後にケガなくしっかり走れるようになります。詳しくは、「梅雨時こそランナーの“体づくり強化期間”」を参考にしてくださいね。
さて梅雨が明ければ、日の光が燦々と降りそそぐサマーシーズンの到来です。気温が比較的低い早朝に走るのも暑さ対策の1つですが、お勧めしたいのが、木陰の多い山の中で、森林浴を楽しみながら走る「トレイルランニング」です。

「え! 山道を走るなんてハードルが高すぎる!」と思われた方もいるのではないでしょうか。でも、安心してください。何も急坂を全力で山頂まで駆け抜けろというわけではありません。ここでお勧めするのは、勾配のゆるやかな山を、ゆっくりと走るトレイルランニングです。「脚作りの一環」「練習のマンネリ化の脱却」「体をほぐす手段」として、トレイルランニングはお勧めなんですよ。
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