東京マラソンの人気などを背景に、ランニング人口は2080万人に増加し、各種スポーツの中でも高い関心を集めています。さて、今年はオリンピックイヤー。リオ五輪パラリンピックまであと3カ月と近づいてきました。今回は、有森裕子さんが障がい者スポーツとしてのマラソンの魅力について語ります。
2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムも決定し、いよいよ世界最大のスポーツの祭典(2016年リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック)の開幕まで、あと3カ月となりました。
とかくオリンピックばかりに注目が集まりがちですが、皆さんにはその後に開催されるパラリンピックにもぜひ注目してほしいと思っています。
とはいえ、パラリンピックは、障がいの程度に応じて細かくクラス分けされているため、少し分かりにくいところもありますよね。このコラムはランニングがテーマですから、今回は、障がい者スポーツとしてのマラソンの魅力をご紹介したいと思います。
車いすマラソンのスピードは圧巻の一言!
障がいのある方々が参加するマラソンは、車いす部門、視覚障がい部門、聴覚障がい部門などに分かれます。今年2月の東京マラソンでは車いすマラソン部門が開催され、リオデジャネイロ・パラリンピックの代表が決まりました。視覚障がいマラソンは、リオで初めて女子の競技が正式種目になります。
車いすマラソンは通常、健常者のマラソンが始まる前にスタートします。流線型のヘルメットをかぶった選手は3輪タイプの競技用車いすに乗り、前傾姿勢のまま、腕の力だけで42.195kmを走り抜きます(フルマラソン以外にもハーフマラソンなど距離の短いレースもあります)。
その魅力はなんといってもスピード。健常者のマラソンの世界記録が2時間3分台であるのに対し、車いすマラソンの世界記録は1時間20分14秒。健常者の2倍近い速さです。実際のスピードを現場で見ていただければ分かりますが、マシーンのような車いすで、特に下り坂を一瞬にして駆け下りて行く様子は圧巻です。
