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有森裕子の「Coolランニング」

有森裕子 今は五輪よりも、一丸となって新型コロナ終息を目指すとき

未曽有の事態には新しい発想で挑むしかない

 有森裕子=元マラソンランナー

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、2020年4月7日に東京、大阪など7都府県で緊急事態宣言が出されました。テレワークが始まって働き方が変わったり、予定の変更を余儀なくされたりと、いつもと異なる日常に戸惑われている方がたくさんいらっしゃると思います。精神的にも疲れが出てくるころです。感染予防はもちろんのこと、メンタル面でもくれぐれも体調管理には気をつけてください。

コロナウイルスの終息があっての五輪

 新型コロナウイルスの猛威の前に、東京五輪もついに2020年の開催を断念し、1年延期することが正式に決まりました。延期後の日程は、2021年7月23日から8月8日と発表されました。

 とはいえ、このウイルスの感染終息の見通しは未だ立っていません。仮に日本で終息したとしても、世界での流行が収まらない限り、1年後に無事開催できる保証はありません。外出自粛要請が続く中、五輪代表候補選手の練習拠点である味の素ナショナルトレーニングセンターも使用停止になり、選手たちが五輪開催に向かって全力で準備できる状況でもありません。

 内外の五輪代表選手や元代表選手の中にも、新型コロナウイルスに感染した人が出てきました。とにかく今は五輪よりも、スポーツ界が一丸となって、このパンデミック(世界的大流行)の終息を目指すことを第一に考える時だと思います。

 既に、SNSなどを使ったアスリートによる自主的な発信は始まっています。世界各国のトップアスリートが、家でできるトレーニングやチャレンジ企画などを公開し、家で過ごすことの重要性を呼びかけるメッセージを発信しています。陸上選手も「いまスポーツにできることリレー」というコンセプトで、トレーニングやストレッチ、栄養学を生かした料理などの動画を、SNSを介してリレー方式で発信しているようです。

 私が理事長を務めている、知的障がいのある人にスポーツを通して自立や社会参加を応援する非営利組織「スペシャルオリンピックス日本」も、現在全てのプログラムの活動を休止しています。ただ、「Be with all」という組織のビジョンの通り、社会的距離(ソーシャルディスタンス)は離しても、心の距離は近づけてこの状況をみんなで乗り切ろうと、SNSなどを使ってつながる方法を始めました。

 こうした個人、あるいは個別の団体の動きとは別に、例えば日本オリンピック委員会(JOC)や全競技団体が主導する形で、アスリートが一丸となって「皆でコロナ感染拡大を食い止めよう」というメッセージを打ち出すキャンペーンを行っても良いのではないかと思います。五輪は、世界のトップアスリートが集う平和の祭典であり、社会貢献の役割も担っていると私は考えています。聖火リレーができない代わりに、コロナ拡大を抑えるためのマインドリレーを行いましょう。コロナの終息あっての五輪開催です。

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