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有森裕子の「Coolランニング」

有森裕子 コロナによる子どもの「体力低下」と「運動嫌い」を防ぎたい

「感じる力」を育てるスポーツの機会減少に危機感

 有森裕子=元マラソンランナー

実施の条件よりも「中止の基準」を明確にしてほしい

 私自身も、小学生を対象とした「キッズ・スポーツ体験キャンプ」という宿泊型のスポーツキャンプに14年間かかわってきました。しかし、コロナのため昨年は中止に。現段階では再開は不可能ではないとは思いますが、具体的にどのような手法や対策を取れば、子どもたちが安心・安全にスポーツキャンプを体験できるのか、その答えをまだ見出せていません。

 部活動や試合などを継続・開催するにしても、責任を負う学校としては、さまざまな制限を設けざるを得ない状況であることはよく分かります。外出自粛要請が解かれた首都圏の学校でも、どのように部活動や体育の授業を実施していくかは頭を悩ませている課題でしょう。とはいえ、それは大人の都合であり、「春の選抜高校野球大会はやっているのに、なぜ私たちの試合は実施されないの?」という疑問を抱いたり、活動を制限される理由を納得できない子どもたちもいるかもしれません。

 部活動やスポーツイベントをベストな状態で実施するためには、行政などが「中止にする基準」をもっと明確にしてほしいとも思います。「実施・開催するにはどうすべきか」という視点も大事ですが、それだと不安が次から次へと出てきてしまいます。「中止にする基準」を明確にすれば、「それが中止の条件ならこういう風にしよう、ああいう風にしよう」という思考が働き、納得しながら対策を練っていけるのではないかと思うのです。

 スポーツは子どもたちに、さまざまな良い影響を与えます。最大のメリットは、体の成長を促し、健康な体をつくるということでしょう。ただ、本当の意味でのスポーツの良さは別のところにもあります。例えば、「相手と競い、勝ち負けを経験することで、努力の大切さや相手を尊重する姿勢を学ぶ」「チームワークを大事にすることで、コミュニケーションの大切さを学ぶ」「ルールを守ることで、社会の規律の大切さを学ぶ」といったものです。スポーツは、子どもたちが社会で生きていくための大きな力を育むものだと信じています。

「感じる力」は社会を変えるエネルギーになる

 少し話がそれますが、先日、「ねむの木学園」という日本初の肢体不自由児養護施設を設立・運営した女優・宮城まり子さんのドキュメンタリー番組の再放送(*2)を見ました。

 2020年3月に93歳で亡くなられた宮城さんは、障害がある子どもたちに自由に絵を描かせていました。描かせるようになったきっかけは、ある1人の障害のある男の子の絵を見たことだったそうです。「カニの絵を描く」というテーマの授業で、その男の子は甲羅のみのカニを描きました。すると、採点した先生は「カニとはこういうものですよ」と脚を描いて返したそうです。すると男の子は、「これは自分が描いたカニじゃない」と言って、自分の絵に×印を描いてしまいました。

 ×が付いた絵を見た宮城さんは、とても悲しい気持ちになったと言います。脚のないカニは男の子の感性から描いたもの。世間の常識を押しつけるだけの教育は、障害がある人を否定することになりかねず、孤立へとどんどん追い詰めていくのではないかという疑問も持たれたそうです。「ダメな子なんか1人もいない」という信念の下で運営されてきた「ねむの木学園」では、それぞれが描きたいと思った絵を自由に描かせることにしたといいます。

*2 NHK「歓びの絵 ねむの木学園 48年の軌跡」

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