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有森裕子の「Coolランニング」

有森裕子 「日本記録保持者のシューズ」に飛びつく前に

市民ランナーがトップランナーを模倣することのリスク

 有森裕子=元マラソンランナー

極論だけを強調する見出しをうのみにしない

 ランニングのトレーニング法でも、様々な健康法や病気の予防法でも、昨今の情報番組や雑誌、インターネットでは、「○○はやってはいけない!」「△△をやらないとダメになる!」といった、極論だけを切り取ったような見出しの記事が増えているように思います。

 これは、読者に分かりやすくメッセージを伝え、興味を持ってもらうためのテクニックなのでしょうが、情報の受け手が、見出しだけで情報を得たような気になってしまうのはよくないと思っています。面倒でも中身をよく読んで、見出しの真意を理解することが重要になってきます。

 つまり、情報に流されず、本当にそれが自分に合うかどうか、正しいかそうでないのかを考える。あるいは実際に実践してみて、合うか合わないかを見極める。そうした吟味をして初めて、その情報は自分にとって有益な情報になるのです。“衝撃的な見出し”の情報は、万人に役立つものではなく、初心者、中級者、上級者といったレベルでも異なるでしょうし、年齢や体の状態などによっても変わってくると思います。情報過多の時代だからこそ、「この情報は自分にマッチするのか」と考える癖をつけて、賢く利用してほしいと思います。

4月はスピード練習よりも、パーツを鍛えよう

 さて、4月のトレーニングについて少しだけお話ししたいと思います。春の大会を目指す人もいると思いますが、多くは夏以降のマラソンにエントリーしようと考えていると思います。三寒四温で寒い日もあるうちは、スピード練習をガンガンするというよりは、“体づくり”の時期と捉えていいと思います。

 寒いシーズンに縮こまっていた足首周り、膝周り、腰周りをしっかりストレッチで伸ばし、膝周りや足腰を鍛えるスクワットや、かかとを上げ下げして足首やふくらはぎを鍛えるカーフレイズなどで、体のパーツを強化します。そして、10kmぐらいの短いレースやクロスカントリーに参加して、気持ちよく走ればいいでしょう。スピード練習は段階を追って取り入れていくような流れがいいかと思います。

 余裕がある方は、海外の暖かい場所で開催されるレースで走るのもいいと思います。日本では梅雨の時期に当たる6月30日~7月1日には、オーストラリア有数の観光地であるゴールドコーストで、ゴールドコーストマラソンが開催されます。海岸線に沿った高低差が少ないとても走りやすいコースなので、蒸し暑い日本を脱出して参加してみるのもいいかもしれませんね。

 いずれにしろ、4月はレースを間近に控えて気負うシーズンでもありません。夏以降の“本番”に向けて、今はリラックスしながらトレーニングに取り組んでみてください。

(まとめ:高島三幸=ライター)

有森裕子(ありもり ゆうこ)さん
元マラソンランナー
有森裕子(ありもり ゆうこ)さん

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

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