チャリティで集めたお金が復興支援に使えない!?
ところで、今回のおかやまマラソン2018では、2018年7月の西日本豪雨災害への復興支援として、チャリティゼッケンを販売しました。1枚1000円で購入していただき、被災地に向けた励ましのメッセージを書いてもらうよう企画されたものでした。
私もメッセージを書いたゼッケンを背中に貼って参加したのですが、残念ながら売り上げはあまり大きく伸びなかったようです。チャリティゼッケンの存在を知らなかった参加者の方もいらっしゃったので、事前のアナウンスが十分に行き届いていなかったのかもしれません。もったいなかったなと思うし、今後の課題だと思います。
それ以上に残念であり、ショックを受けたのは、お正月に岡山に帰省してテレビのニュースを見た時でした。そこには地元の復旧が全然進んでおらず、ガラスが割れたままの家がまだ残っている様子が流れていました。
何百人もの人がまだ仮設住宅で暮らしているそうです。それは、建設費用だけの問題ではなく、家を建て直してくれる大工さんが足りないことも大きな原因なのだとか。建設業界が深刻な人手不足で、地元の復旧に尽力したくてもできる状態ではないのだそうです。
これではいくらチャリティでお金を集めても、一向に自宅の修繕・建て直しができず、ただ時間が過ぎていくだけ…。そんな状況に強い憤りを感じましたし、チャリティで集めたお金をどうすればいいのか、先が見えない気持ちになりました。恐らくこれは岡山だけの問題ではないように思います。
豪雨災害の被災地の状況は、現在、東京ではほとんど報道されていないようですが、こうした現状を多くの人に知ってほしいです。本当にどうにかならないものでしょうか…。
(まとめ:高島三幸=ライター)
元マラソンランナー(五輪メダリスト)

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。公式Instagramアカウントはこちら。