東京マラソンの人気などを背景に、ランニング人口は2080万人に増加し、各種スポーツの中でも高い関心を集めています。特に20~40代の男性の参加が多い一方で、アスリートのような走りを性急に求めすぎた結果、故障をしてしまう人も少なくありません。そんな状況に危機感を抱くのは、五輪マラソンメダリストの有森裕子さん。トップアスリートならではの深いランニング知識を基に、楽しく長く走り続けるためのコツをお届けします。
第9回東京マラソンの開催が、いよいよ2月22日に迫ってきました。
東京マラソンは、ご存じの通り、世界の一流選手とおよそ3万6000人もの市民ランナーが日本の首都・東京の中心部を駆け抜ける、真冬の一大イベントです。今大会は、この夏北京で開催される陸上世界選手権の代表選考を兼ねており、2014年のアジア大会2位の松村康平選手や、2012年ロンドン五輪代表の藤原新選手などがエントリーしています。海外勢は男子のキプロティク(ウガンダ)、女子のゲラナ(エチオピア)といったロンドン五輪金メダリストも出場予定で、見どころ満載です。
東京マラソンは、日本の数ある市民マラソン大会の中でも最も人気が高い大会で、当選倍率は10倍以上に上ります。そして、2007年に開催された第1回大会は、私の引退レースでもありました。
あの日は、雨が降ってしまい、体感気温5℃以下という非常に寒いコンディションでした。先頭を谷川真理さんが走り、続いて私。「あ、2位で走っている!」と思った途端、こけてしまい、膝や手から出血するアクシデントもありました。でも、沿道の温かい声援に励まされ最後まで走りきり、ゴールした瞬間、涙がとまらなかったことを覚えています。
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