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有森裕子の「Coolランニング」

有森裕子 五輪イヤーに考える リアルのマラソン大会は開催されることが奇跡

手探りで行われた奈良マラソンでは、関係者全員の工夫と協力が結集

 有森裕子=元マラソンランナー

 翌13日には、約42kmのフルと約21kmのハーフの距離のリレーマラソンが開催されました。1.7kmの周回コースを2~10人編成のチームでタスキをつないで走るというもので、私は号砲を担当したのですが、小学生から参加できるので、親子で楽しく走っていらっしゃる姿も見かけました。リレーマラソンの開催は初めてだったようですが、こちらでも密を避けるためにリレーゾーンを2つに分けるなどして対策が練られていました。

ゴール地点で声援を送る有森さん

リアル大会の開催は関係する人たちの全面協力が必須

 今回の奈良マラソンは、例年のように古都・奈良の文化財や町並みを眺めながら走るコースではありませんでしたが、パーク内の山の中を走るコースは緑豊かで美しく、奈良マラソンの名物でもある坂道も体験できるようになっていました。沿道の応援者がいない中、苦しい坂道の途中にはランナーへの応援メッセージが並べられていて、運営側も最低限の人数で対応できるように工夫されていたと思います。

 本来、マラソン大会はタイムや順位を競うものですが、今回の奈良マラソンは、コロナ禍において安心安全を第一に、走る楽しみに重きを置いて企画が練られていました。コースの選定を含め、奈良マラソンの楽しさをぎゅっと凝縮したような大会になっていて、さすがものづくりの町だなぁと感心しました。私自身、久しぶりのリアルイベントでランナーの皆さんに直接声援を送れたことが楽しかったですし、何より参加者の皆さんが気持ち良さそうに走っていた姿が印象的で、とても良い大会だったと思います。

 ただ、今回の奈良マラソンは成功に終わりましたが、「ここの大会が成功したのだから、リアルな大会をどんどん増やしていける」「うちの県も開催しよう」という流れになる状況ではまだないと思います。新型コロナウイルスの感染者が増え続け、変異したウイルスも国内に入ってきた今、リアルな大会を開催することがどれほど困難で、奇跡的なことであるかを念頭に置いた上で、開催するか否かを考えることが賢明だと私は思います。そして開催するのであれば、主催者やボランティアだけではなく、参加者も応援者も、大会に関係するすべての人々が全面的に協力する体制が取れることは必須になるでしょう。

実業団でもレース開催、トラック長距離は記録ラッシュに沸く

 実業団の方では、2020年12月20日に、第39回山陽女子ロードレース大会が感染防止ガイドラインに基づいて開催され、私も増田明美さんと一緒に解説者として参加しました。私の地元・岡山の市街地を走るハーフマラソンは、東京五輪マラソン女子代表の前田穂南選手(天満屋)や一山麻緒選手(ワコール)が参加することで注目されていました。しかし蓋を開けると、一山選手が2km過ぎから先頭集団を引っ張ったものの、15kmすぎに国内の実業団に所属する外国人選手にスパートされて離されてしまい、結局、外国人選手が1位、2位を独占。日本人トップは一山選手の3位で、タイムも1時間10分17秒と、決して良いとは言えないものでした。前田選手は9位に終わり、心配に思った方もいたかもしれません。

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