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“ロカボ”山田悟の糖質制限の誤解

「脂質を控えましょう」には意味がない!?

第3回 「脂=悪」の誤解はどこから生まれたか

 山田 悟

 ダイエットのために緩やかな糖質制限「ロカボ」を実践している人は多いでしょう。ロカボを提唱したのは糖尿病専門医の山田悟さん。本連載では、「食べる喜びをしっかり味わいながら健康になる」ことが何よりも大事、と話す山田さんが、ロカボについて医学的根拠から説き起こし、わかりやすく伝えていきます。
 今回のテーマは、油・脂肪を抑える「脂質制限」。読者の中にも、ロカボにすると「脂のとり過ぎになって体に悪いのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。本当のところはどうなのでしょうか。山田さんに解説していただきます。

「ロカボは脂のとり過ぎで体に悪い」という誤解

 前回は、糖尿病治療やダイエットの「王道」といわれてきた「カロリー制限」には、骨密度の減少や筋肉量の減少といった見逃せないリスクが存在する、という事実をお伝えしました。

 カロリー制限は、患者さんに我慢を強いるばかりでなく、長期の継続性や安全性に問題を抱えています。それにもかかわらず、医療関係者はなぜ、疑問を持たずに今なお患者さんにこの食事法を勧めるのでしょうか。その背景に、最新の栄養学の情報がアップデートされていないこと、そして「健康になるためにはカロリーをできるだけ落とすべき」という思い込みがあることなどがあります(詳しくは第2回を参照)。

 さらに、「油・脂肪(脂質)は高カロリーで体に悪い。健康のためには、できるだけ脂質をカットすべき」という「脂質制限」への思い込みも根強く存在する、と私は考えています。

 実際、私が一般の方にロカボのことをお話しすると、「糖質以外のおかずをお腹いっぱいになるまで食べていいなんて、脂のとり過ぎになってかえって太ってしまったり、生活習慣病リスクが高まるのではないですか?」という質問が必ずといっていいくらいよく挙がります。

 私は今、糖尿病の患者の方に対して、“緩やかな”糖質制限である「ロカボ」を中心に栄養指導を行っているのですが、患者さんの中には、糖質制限だけでなく、脂質制限も同時にしたほうがいいと考え、自己判断で実践してしまう方もいらっしゃいます。そして、「食べる物が鶏のささみと野菜だけに制限されてつらい」と訴えて、ついにはロカボも継続できなくなってしまうのです。

 そこで今回は、「脂質制限に意味はあるのか」についてお伝えしたいと思います。

脂質制限では中性脂肪値が下がらない

 まず、第1回でご紹介した「ダイレクト試験」を振り返ってみましょう(N Engl J Med. 2008;359:229-241.)。

 この研究では、脂質を控える「カロリー制限食」よりも、糖質だけ控えてタンパク質、脂質、カロリーは無制限にとっていい「糖質制限食」のほうが中性脂肪値もHbA1c(2カ月間の血糖値の平均を見る指標)も改善したことを示しています。

糖質制限食によって中性脂肪値が改善した
322人の肥満の男女を3つのグループに分け、「カロリーと油を控える」カロリー制限食、「カロリーを控えて油はとる」地中海食、「カロリー無制限で糖質だけを1日120g以内に抑える」糖質制限食の3つの食事療法の効果を調べた。3グループのうち、最も減量効果が高く、中性脂肪値を下げ、善玉コレステロールを増やし、HbA1cが改善したのは糖質制限食だった。(N Engl J Med. 2008;359:229-241.を基に編集部により改編)
[画像のクリックで拡大表示]

 なかでも注目に値するのは、この研究において、「脂質を制限したグループが最も中性脂肪値が下がらず、最も体重が減りにくかった」という事実です。

 えっ、脂質を控えたら当然、体の中の脂である中性脂肪値も下がるんじゃないの? 体重も減るんじゃないの? と思われるかもしれませんね。

 ここに、大きな誤解があるのです。

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