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知らないでは済まされない!「ストレスチェック」と「健診」の決定的違い

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 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 こんにちは、精神科医で産業医の奥田弘美です。残暑が続く毎日ですが、朝夕に秋の気配が漂い始めました。あなたの心と体はお元気でしょうか? 今回は、「ストレスチェックの活用」をテーマにお伝えしたいと思います。

「心の健康診断」ともいえるストレスチェックとカラダの健康診断の決定的な違いは?(c)melpomen - 123rf

 労働安全衛生法が改正となり、2015年12月1日から従業員50人以上の全事業場に対してストレスチェック実施が義務付けられました。ストレスチェックは、簡単にいうと「心の健康診断」です。働く人にうつ病をはじめとするメンタル不調が急増していることから、厚生労働省の肝煎りでスタートした制度ですが、2016年に会社から言われるままに何となくストレスチェックを受けたという方も多いことでしょう。2017年もすでに2回目のストレスチェックを受検したという人もいると思います。

 さて読者の皆様は、このストレスチェック制度の仕組み・特徴をきちんと理解されて受検しているでしょうか?

 先述したとおり、ストレスチェックは「心の健康診断」です。しかし従来会社で行われてきた「体の健康診断」と大きく違う点が2つあります。それは「受検するかしないかは社員の意思に任されている」そして「ストレスチェックの結果は会社には知らされない」という点です。詳しく説明しましょう。

健診結果は会社に知らされるが、ストレスチェックは…

 会社が社員に対して行う「体の健康診断」は、社員には必ず受けなければいけない義務(受診義務)があります。またその結果は、法律で定められたデータ(法定項目)に関しては社員の意思に関係なく会社に報告されます。しかしストレスチェックは、社員に受検義務はありません。ストレスチェックを受けるか否かは、社員に選択の権利が与えられているのです。またストレスチェックを受けたとしても、その結果は会社には本人の同意がない限り通知されません。

 ストレスチェックの結果を知っているのは本人と、ストレスチェックの実施者(通常は医師もしくは保健師)と実施事務従事者(実施者の事務業務をサポートする担当者)のみです。実施者と実施事務従事者には強く守秘義務が課せられているため、たとえその会社の産業医や社員が担当していたとしても会社に結果を伝えることは禁じられています。ちなみに実施事務従事者は、人事権を持たない社員しか担当できません。

 なぜこのような複雑で厳重な仕組みになっているかというと、ストレスチェックを受けることによって会社から不当な扱いを受けるリスクを徹底的に排除するためです。ゆえに会社には「全社員に受検する機会を与える義務」が課せられているものの、健康診断とは違って「結果を知る権利」は与えられていないのです。

 このストレスチェックの特殊な仕組みは、受検する社員側にも従来の健康診断とは違った意識改革を要求しています。一言で言うと、「ストレスチェックは基本的には自己責任で取り扱う」ということです。「体の健康診断」との違いとともに、具体的に解説しましょう。

「高ストレス」という結果でも、会社が何もしてくれないワケ

 まず従来からの「体の健康診断」の結果は自動的に会社に知らされ、会社にはその結果を産業医に見せて意見をもらい、「健康診断実施後の措置」を行う義務が課せられています。どのような措置を行うかというと、例えば高血圧や糖尿病が悪化している人には病状を悪化させないために、治療が安定するまで一時的に残業を制限したり、貧血のひどい人には改善するまで立ち仕事や高所作業を免除して危険を予防したりするのです。

 つまり社員が何もアクションを起こさなくても、結果が悪い人に対しては、会社が産業医と相談して就業を調整したり、適切な治療を促してくれるのが「体の健康診断」なのです。

 一方、ストレスチェックは違います。

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