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「隠れ疲労」の兆候を感じたら、何も予定を入れない休日を

第24回 夏うつ予防のための休日の過ごし方

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント

 そもそも日本のビジネスパーソンは睡眠不足が常態化しているため、平日にたまった睡眠負債を休日に少しでも返しておかないと、疲労が蓄積し、健康悪化につながってしまいます。昼夜逆転するような極端な遅寝はいけませんが、午前10時ぐらいまでの「遅めの午前中」に起きる程度の「しっかり寝」をして睡眠負債を返すことは、ビジネスパーソンの疲労を回復させるためには非常に重要だと私は感じています。

 実際、最近発表されたスウェーデンのストックホルム大学の研究(*2)では、週末の寝だめが死亡率の低下に役立つという結果が報告されています。この研究では、毎日5時間未満の睡眠を続けた65歳未満の人は、毎日7時間眠る人に比べて死亡率が高くなるが、同じく平日は5時間未満の睡眠であっても、週末に朝寝坊して数時間多く眠っている人の場合、死亡リスクの上昇は認められなかったというデータが示されました。

 急なイベントや休日出勤によって、この「しっかり寝」する休日が損なわれたために、一気に自律神経失調症状や抑うつが病的レベルになってしまったビジネスパーソンに、今までに何人もお目にかかりました。平日に寝不足が続いている人は、休日にしっかりと寝るようにしてください。

 そうして深く十分に眠って気持ちよく目覚めたあとは、心のおもむくままにのんびりと過ごしましょう。時間に縛られない「Beingモード」の休日が、緊張を解きほぐしてリラックス度を自然に高めてくれます。体の疲労度が高く、家でボーッとしたければそれでもOK。家事はできるだけ手を抜いてゆったりのんびり過ごしましょう。午後から少し動きたくなったら近場の公園を散歩したり、近隣のショップをふらりとのぞいたり、軽めのストレッチ系の運動をしてみたり…。そんな身も心もフリーな休日は、時間にもコミュニケーションにも気を使わなくてもよいため、心身の緊張度がぐっと緩和されます。

 そして疲労が回復してきて気力や体力が普段のレベルに戻ってきたならば、次の休日にはスポーツやジムで無理しない程度に汗をかくのもよいでしょうし、新しい知識を得たりスキルをアップしたりするためのセミナーや習い事に短時間だけ出かけてみてもよいと思います。

 ただし、いくら「心のままに」といっても、昼間からアルコールを多量に飲んだり、甘い物を爆食いしたり、交感神経を高ぶらせるゲームに一日中興じたり、夜遅くまでDVDを観たりといった、不健康な心の声には応じないでください。あくまでもご自身をいたわる、健全な心の声のみに従っていきましょう。健全と不健全との区別がつかない方は、「ご自身の大切な子どもやパートナーなどの家族やペット」をイメージしてください。「自分の愛する、生きとし生けるもの」が弱っているときに、その行為を自分は勧めるかどうか? このように自分に問うてみると、おのずと答えは得られると思います。

 不快指数の高い梅雨から夏を、心身の疲労を悪化させることなく無事に乗り切るために、ご自身の心と体に対して、しっかり丁寧にケアしてあげる思いやりを忘れないでください。

こちら「メンタル産業医」相談室

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奥田弘美(おくだ ひろみ)さん
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント
奥田弘美(おくだ ひろみ)さん 1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内20カ所の産業医として働く人を心と体の両面からサポートしている。著書には「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」(扶桑社)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

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