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実は多い「上司がストレス」、部下との会話で意識すべきこと

第21回 残念なコミュニケーション・エラーを減らすために

 奥田弘美=精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家

 「これから、どんなふうになったらいいと思うの?」「どこが改善したら、もっとやりやすくなると思う?」などといった未来の状況を尋ねる質問(未来型質問)をすると、相手のニーズや価値観が引き出しやすいように思います。

 逆に「なぜ、あのとき、~~しなかったの?」「どうしてもっと前に~~できなかったの?」といった過去のミスやできていなかったことを否定的に尋ねる質問(過去型否定型質問)を繰り返すと、「責められている」「怒られている」という雰囲気になるので要注意。相手は予防線を張って本当のことを言わなくなってしまいますので、このような質問は最小限にとどめるように心がけます。

(4)最後にこちらのアドバイスや意見を「伝える」

 経験のある上司や先輩ほど、相手の足りない部分が見えるため、話がある程度見えてくるとアドバイスを伝えようとしてしまいがちですが、上記の「聴く」「質問する」のステップにできるだけ時間をかけたあとで、こちらの意見を伝えるようにします。時間がかかりますが、結局そっちの方がより相手が受け取りやすく実行しやすい有効な助言や意見を伝えることができます。

 相手の話をできるだけ「聴いて」「質問して」いるうちに、相手のニーズ、価値観、思考パターンなどが何となく分かってくるからです。

 例えば「この人は、一つの仕事に集中したい方で、マルチタスクになるとストレスを感じるんだな」とか、「あまり自由に任せすぎると責任を感じて逆に不安になる方なんだな」とか。相手のそういった部分が見えてくると、自分との違いが分かってきますし、アドバイスや意見の方向性も定めやすくなります。

 いくら良い意見やアドバイスを伝えても、相手のニーズや価値観、性格に沿っていないと、結局「押し付け」に聞こえたり、「自分の気持ちを分かってくれない」という不満が残ったりしてしまうもの。多くのコミュニケーション・エラーはこうした行き違いからも生じているように思います。

(5)できるだけ自分の体調は万全にしておく

 当たり前ですが、上記のようなコーチング的なコミュニケーションは、寝不足でイライラしていたり、疲労困憊(こんぱい)していては有効に進めていくことができません。

 私自身、人と年がら年中ディープな会話をしながらアドバイスを伝える仕事をしているため、寝不足や疲れが残っている状態だと、自分のコミュニケーションの質が低下することが如実に分かります。機転の利く言葉が出なかったり、相手の感情を感じにくくなってしまったりと、自分の体調の低下が大きく会話に影響するのを感じます。

 そのため週の始まりに影響がないように疲労の残らない休日の過ごし方を心がけ、ウイークデーも疲労がたまらないように睡眠時間や食事にかなり気を使っています。

 自律神経に疲れがたまりやすく体調が変わりやすい春、どうぞ皆様も体調管理を入念に行いながら、職場での会話に臨んでください。

こちら「メンタル産業医」相談室

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第19回 長時間労働を削減できる会社、医師が見た3つの共通点
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第17回 オフィスでもできる!「マインドフルネス・ストレッチ」
第16回 疲れたら「ボディスキャン瞑想」! 頭から順に意識集中し、違和感探る
奥田弘美(おくだ・ひろみ)さん
精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家
奥田弘美(おくだ・ひろみ)さん 1992年山口大学医学部卒。精神科臨床および都内18カ所の産業医として日々多くの働く人のメンタルケア・ヘルスケアに関わっている。著書は「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「一流の人はなぜ眠りが深いのか」(三笠書房)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

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