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メタボ・肥満解消に効果!「代謝アップ」大作戦

冷えが気になる…そんな人は「お風呂体ひねり」で血流アップ

冷え改善につながる効果的な運動&入浴法とは?

 村山真由美=フリーエディタ―・ライター

 前回の記事で、新陳代謝を活発にするカギは、血液、血管、血流の3つの要素を合わせた「血液力」にあることや、血液力が高い人と低い人では見た目と体調が違うこと、血流調整力の高低が冬の肌荒れに関係することなどについて紹介した。今回のテーマは、血液力と冷え。冬になると冷えを訴える人が増える。女性特有の悩みだと思いがちだが、実は、自覚はないが冷えている男性も多いという。「冷えている=血液の循環が悪い」ということで、冷えは、万病のもとともいえる。そこで今回は、冷え対策を中心に、運動や入浴で「血液力」を高めるコツについて紹介する。

「冷え」の改善に効果的なのは運動

室内にいても冷えが気になるようなら、そろそろ本気の対策が必要だ ©budabar -123rf

 足が冷たくて夜眠れない…。寒くなると、こんな悩みを持つ人が増える。

 「血液は体の中心部で作られた熱を末端に送る役割も果たしています。手足が冷えるということは、血液が末端にうまく届いていないということ。カイロや足湯などで冷える部分を温めるのもいいですが、それだけでは効果的とはいえません」と話すのは、医師・医学博士・健康科学アドバイザーの福田千晶さん。

 前回同様、福田さんは、私たちの体を都市に、血液をライフラインに例えて解説してくれた。

 「末端である手足が冷たいのは、例えれば、中央から離れた地方都市に人や物、情報などがスムーズに届かず、活気が失われた状態だと考えてください。手足を温めることは、活気を取り戻そうと地元の人だけでがんばっているようなもの。地元の人ががんばることはもちろん大切ですが、同時に、中央から人や物、情報を送ってもらったほうが、町は早く活気を取り戻すことができます」(福田さん)

 つまり、手足を温めると同時に、体の中心の熱を手足に届けることが大切なのだ。「そのために一番いいのは運動です。筋肉を動かすと熱が生まれますし、筋肉がポンプの役割をして血流が促され、末端に血液とともに熱が送られます」(福田さん)

若く見える人は体幹を使っている

 運動で血流を良くすることは、冷えだけでなく、もちろん、全身の健康にもいい影響を及ぼす。

 例えば、若く見える人と老けて見える人の差には、「血液力」が関係していることは前回述べた通り。中でも運動は、血管の健康と深く関わっているという。

 「どんな人でも加齢による血管の老化は避けられません。たとえ、血液検査の結果が正常であっても、90歳になれば誰でも動脈硬化になります。しかし、生活習慣によって血管が傷むスピードを遅くすることはできます。その1つのファクターが運動。運動をしている人としていない人では、30代後半くらいから肌の色ツヤや体形などに差が出てきます」(福田さん)

 運動は血流を良くする。すると、体の隅々の細胞に酸素や栄養が行き届くため、肌の色ツヤが良くなる。また、「運動をしている人は、していない人に比べて、必ず腹筋を多く使っています。つまり、体幹がしっかりしている。そのため運動している人は姿勢が良く、歩くペースが速いという特徴があります」(福田さん)

 姿勢が良く、アクティブに動ける人は、消費エネルギーも多い。つまり、太りにくくなるのだ。

生活の変化に左右されない運動習慣を持つと強い

 血流を良くするための運動は、スポーツクラブなどで「わざわざ行う運動」である必要はない、と福田さん。むしろ、毎日の習慣に組み入れると継続しやすく、効果的だ。

 「若く見える人の中には、『運動は何もしていません』という人がいます。そういう人によくよく話を聞いてみると、『子供が運動が好きなので、休みの日は子供につき合って走り回っています』とか、『通勤に自転車を使っています』とか、あえてやろうとしていない運動が生活の中に組み込まれている場合が多く、本人に自覚がなくても、結局、動いているのです」(福田さん)

 スポーツクラブに通うのはいいことだが、仕事が忙しくなったり、転勤したり、家族に介護が必要になったり…。人生にはさまざまな変化がある。それによってスポーツクラブに通えなくなってしまうことも多い。

 「ある50代の女性で、大変若く見える方がいました。血液検査の結果も驚くほどいい数値を保っている。そこで、生活についてうかがったところ、学生時代から30年以上、入浴前に腹筋、背筋、腕立て伏せを10分間行う習慣があるということでした」(福田さん)

 そう、どんなに忙しい人でも、どんな環境であっても、毎日行うのは「入浴」だ。「入浴前に10分間の筋トレを行う、あるいは、入浴中に運動を行うなど、入浴をフックにすると、生活に変化があっても運動を習慣化しやすく、おすすめですよ」(福田さん)。

入浴をスモールチェンジするススメ

入浴は血液力を高めるだけでなく、リラックス効果もある ©PaylessImages-123rf

 入浴は、運動と同様に血流を良くする効果があるばかりか、現代人にとって、それだけではないポテンシャルも秘めている、と福田さんは言う。「近年、冬でもシャワーだけで入浴を済ませてしまい、湯につからない人が多いですが、それは、非常にもったいないことです」(福田さん)。

 湯につかるメリット、それはまず、血管が拡張し血流が良くなることだ。「シャワーでも血流は良くなりますが、湯につかると水圧のマッサージ効果が加わるため、末端の血液が素早く心臓に戻ります。また、湯の中では浮力が体を支えるため、筋肉を休めることもできます」(福田さん)

 また、湯につかることは副交感神経を優位にする働きがある。自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つのバランスがとれている状態が理想であることは、ご存じの方も多いだろう。自律神経は私たちが生きるために発達してきた神経だ。現代よりも、狩猟時代を想像するとわかりやすい。

 「交感神経は戦闘態勢のときに働く神経です。例えば、獲物を追ったり、獣や敵に追われたりしているときは、心臓がドキドキして、血管は収縮し、血圧が上がります。このとき、手足は冷たくなっています。なぜなら、体表に血液を送ってしまうと、万が一ケガをしたとき、出血多量で死んでしまう可能性が高くなるからです」(福田さん)

 一方、副交感神経はリラックスしているときに働く神経だ。「食事をしたり、ゆっくりしているときは、血管は弛緩し、血圧が下がります。眠くなると手足がポカポカしてくるのは副交感神経が優位になり、手足の血流が良くなった印です」(福田さん)。

 この交換神経と副交感神経がバランス良く働いているのが理想的な状態だが、現代人は、交換神経ばかりが優位になりがちだという。

 「現代人は、獣に追われることはありませんが、狩猟時代とは違うストレスを抱えています。たとえば、仕事に追われている人や、上司や客先に叱られるのではないかとハラハラしている人は、戦闘態勢に置かれているようなものです。家に帰れば帰ったで、家事に追われたり、子供の世話や介護など、やらなければならないことが多い。もろもろをめぐって夫婦のバトルがあったりすると、家庭でも気が休まらないというのが実情です」(福田さん)

 会社でも家庭でも気が休まらない=交感神経がずっと優位、という人が多いのだ。

 今、入浴をシャワーで済ませている人は、湯につかり、副交感神経を優位にすることをおすすめする、と福田さん。湯の中で運動をすると、さらに血流アップが望めるのがだから、やらない手はない。

これが血流を良くする「お風呂体ひねり」だ!

お風呂体ひねり

入浴で血液循環を良くし、さらに、体をひねることで肩や腰などの血流をアップ。

  1. バスタブの中に座って、両手のひらを胸の前に上げ、そのまま上体を左にひねり、10秒間キープ。
  2. ゆっくりと元に戻り、右側も同様に行う。5回繰り返す。
※福田千晶さんのアドバイスをもとに作成(イラスト=平井さくら) 以下同
お風呂足上げ

水圧に逆らって足を上げることで、足先に滞っていた血流を心臓に戻す。

  1. バスタブの中にひざを曲げた状態で座り、両手をひざの裏で組む。
  2. 右足のつま先が水面から出るくらいまで、足を持ち上げて5秒間キープしてゆっくり戻す。反対側も同様に行う。左右交互に4回ずつ繰り返す。

お気に入りの入浴剤でリラックス

 お風呂は、現代人にとって、いろいろなことから解放され、好きな環境を作れる唯一の時間といっても過言ではない。

 「全身を効率的に温めるには入浴が効果的。いろいろな香り・色のものや炭酸ガス入りのものなど、いろいろな種類の入浴剤があるので、自分の好みにあったものを上手に使ってリラックスすることも、副交感神経を優位にするために有効です。炭酸は血液の流れを助けてくれるため、冷えや肩こり、腰痛、運動不足を実感している人に勧められます」(福田さん)

 交換神経が優位になりっぱなしの人は、くつろいだ状態がどういうものかが、分からなくなっていることが多いという。「くつろぎ上手になるためのひとつの手段として、ゆっくり入浴をしましょう。2週間ほど続けると、朝起きたときラクだな、とか、体が軽い、肌がキレイになったなど、なんらかの変化が感じられると思います」(福田さん)。

 寒さが本格的になる前に、上手な入浴など、身近な生活習慣のスモールチェンジで血液の循環を良くしてみてはいかがだろうか。

福田千晶(ふくだ ちあき)さん
医師・医学博士・健康科学アドバイザー
福田千晶(ふくだ ちあき)さん 慶応義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学病院勤務を経て、1996年より健康科学アドバイザーとして執筆、講演、テレビ・ラジオ番組などで活躍している。日本リハビリテーション医学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本医師会認定健康産業医、日本体力医学会健康科学アドバイザー、ウーマンウエルネス研究会研究員を務める。著書に『サラサラきれいな血液になるために―いつまでも若くある秘訣』(光文社)、『血液力をあげて病気にならない生き方』(永岡書店)など。