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アルツハイマー、脳血管性…認知症の種類で異なる「食事トラブル」

料理を小分けに、逆にワンプレートに…と対策いろいろ

 伊藤左知子=医療ジャーナリスト

 前回記事「侮れない! 認知症高齢者に多い『お口トラブル』」で紹介したように、認知症になると食事をとれなくなることがある。口腔内にトラブルがあっても、うまく伝えられないためだ。一方、認知症そのものが原因で食事がうまくできなくなることもある。しかも、食事のトラブルのパターンは認知症の種類によって異なるという。どのようなトラブルが起こるのか、介護している人はどう対応すればよいのか、前回に引き続き東京都健康長寿医療センター研究所の研究員で歯科医師の枝広あや子さんの話を基に解説する。

食事中にむせるなどして上手に食べられなくなるのは「脳血管性認知症」、料理を前にすると何をすればいいのか分からなくなるのが「アルツハイマー型認知症」…と、認知症の種類によって実は食事の難しさは異なる(c)PaylessImages-123rf

 「認知症が進行してくると、食事が適切にとれなくなる場合がありますが、その特徴は認知症の種類によって異なります」と枝広さんは話す。認知症の主な種類は四大認知症と呼ばれる脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症で、それぞれ食事の難しさには特徴があるという。

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認知症の種類によって「食事の難しさ」はさまざま

 「例えば、認知症になると甘いものをよく食べるようになる場合があるのですが、その理由は認知症の種類によって異なります」と枝広さん。アルツハイマー型認知症の患者の場合は、味覚の変化によって甘いものばかり食べたくなる傾向があるという。「アルツハイマー型認知症の患者さんは味覚が低下するため、濃い味でないとおいしいと感じなくなるのです。そのため甘いものや味の濃いものを好むようになると考えられています」(枝広さん)

 一方、前頭側頭型認知症の患者は、同じ甘いものを食べていても、その理由は異なる。特定の物事に対するこだわりが強くなることで、毎日特定の食べ物、例えばプリンばかり買ってきて同じ時間に食べるといった行動が起こるのだという。このこだわりは、甘いもの以外の食べ物や、特定の時間に同じ行動といった形でも起こることが知られている。

 他にも認知症の種類によって起こる食行動の特徴にはいろいろある。それぞれの特徴を紹介する。

(イラスト=枝広あや子)
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【脳血管性認知症の特徴】~むせる、上手に食べられない

 脳血管性認知症は、血管障害が生じた脳の領域により症状は異なる。食事に関しては、飲み込みに関係のある場所が障害を受けると、食べる意欲はあっても、むせてしまってうまく飲み込めない嚥下(えんげ)障害が起こることがある。

 この嚥下障害は認知症の進行の程度にかかわらず、脳血管障害の発症後に生じる症状である。ただし他の認知症と違い、治療で脳の血流が改善され、リハビリテーションなどを行うことで、ある程度は飲み込み機能の改善が望めるケースがある。「脳血管障害でも、意識障害がある場合は改善が難しいですが、意識がありコミュニケーションが可能で座位がとれる人は、リハビリテーションで3カ月後、6カ月後にはある程度嚥下障害が治ってくることがあります」と枝広さんは話す。

【アルツハイマー型認知症の特徴】
 ~目の前の料理をどうすればいいのか分からない

 アミロイドβ(ベータ)などのたんぱく質が脳にたまることで脳細胞の減少、脳の萎縮などが起こり発症すると考えられているアルツハイマー型認知症。中核症状として見当識障害(場所や時間、人の名前や顔、状況の判断が難しいこと)が起こるため、食事行動の組み立てや食事の認識そのものが難しくなる。つまり、目の前に料理を出されても何をしていいのか分からなくなってしまうことがある。

 しかし、身に付いた習慣の記憶は長く残るため、例えば毎日料理をしてきた女性の場合、目の前に料理を出されると「調理の作業かな?」と間違えてしまうことも起こる。その結果、食べ物を手に取ってより分けたり、入れ替えたりと、一見遊んでいるような行動をとってしまう。

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