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動作の要「お尻」を筋トレ 歩き姿美しく、腰痛防ぐ

 日本経済新聞電子版

お尻の筋肉は実は重要な役割を果たしている。歩行や運動のパフォーマンス、美しいボディーづくり、転倒予防のため、老若男女問わず鍛えておきたい。正しいフォームのお尻トレーニングに挑んでみよう。

(モデルは早稲田大学エルダリーヘルス研究所招聘研究員・渡辺久美、以下同)

 まずはお尻にどんな筋肉があるか知ろう(イラスト参照)。大きくお尻全体を覆っているのが大殿筋で、脚を後ろや横に動かすために働く。中殿筋はお尻の横側にあり、脚を横に上げたり、股関節を支えたりする。特に鍛えたいのが中殿筋だ。

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 中殿筋は大殿筋と比べると小さいが、骨盤と大腿骨を固定する重要な筋肉。特に歩くとき、脚を上げた瞬間に股関節を固定し、骨盤が下がらないようにしている。この筋力が低下すると、歩行時に骨盤が下がり、お尻を横側に突き出すような歩き方になりやすい。街中を行く若い女性や高齢者に多く見られる。

 また、中殿筋は運動のパフォーマンスを上げるためにも大切だ。例えばゴルフのスイング。体重移動のために股関節が外に動くが、そのときの圧力(球が飛ぶ方向への力)に対応し、中殿筋が骨盤と股関節を横で止めている。中殿筋が弱いと股関節は外に逃げてしまい、うまく力が伝わらなくなる。

 メリハリのあるボディーづくりにも、中殿筋の働きは見逃せない。お尻の脂肪組織や大殿筋が重力で下がるのを支えてくれる。カーブを曲がるときや何かをよけるといったいざというときに踏ん張って、高齢者の転倒を予防する

 どうやって鍛えればいいか。単純な動作を繰り返すトレーニングで何歳からでも鍛えられる。単純だが丁寧に、毎日取り組んでほしい。

お尻の筋肉を鍛える4つの運動

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 立った状態で片脚を横に上げる運動(動作A)では、主に中殿筋を鍛えることができる。机や壁、台所の流し台などに手を添え、前かがみにならないようにして動かそう。足首を90度に曲げ、つま先を壁などに垂直に向ける。左右交互に10回程度繰り返す。

NG例
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 次に、立った状態で片脚を後ろに上げる運動(動作B)。この動きは主に大殿筋を鍛える。効果を高めるため、膝は伸ばす。動作Aと同様に10回程度繰り返そう。

NG例
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 四つんばいでの運動(動作CとD)も大殿筋に効果的だ。膝を90度に曲げたまま横に上げ下げしたり、脚を後ろに上げ下げしたりする。なるべくゆっくり動かすよう、4拍で上げ4拍で下げる。

 動作CとDは四つんばいの姿勢自体が運動の効果に影響するので、正しい四つんばいを覚えてほしい。お尻を突き出したり、首を突き出して前のめりになったり、背中を反らし過ぎたりしないように気をつける。


 いずれも「これならできそう」という動作から始め、徐々にメニューを増やしていきたい。ゆっくり丁寧に左右交互に10回程度を目安に。無理は禁物だ。たとえ1、2回でもOK。続けることが大切。

 お尻の筋肉はつい見逃しがちだが、中殿筋を鍛えれば腰痛予防の効果も期待できる。鍛えて安定した歩行や美しい歩き方、思い通りのスポーツパフォーマンスをぜひ体感してほしい。

(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)

[NIKKEIプラス1 2017年9月2日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「フィットネス」からの転載です。