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5時間睡眠、うつ病のリスク 100時間残業に相当

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政府は働き方改革関連法案に長時間労働の是正策を盛り込み、繁忙期の単月の残業を100時間未満に抑えるとした。過労は体調を悪化させるが、最近は特にうつ病など精神疾患との関係が注目される。長時間労働はどのように精神をむしばむのだろうか。

(c) THEERAVAT BOONNUANG - 123RF

 長時間労働の問題が大きな注目を集めたのは2015年12月に過労自殺した電通新入社員の高橋まつりさん(当時24)について、労働基準監督署が昨年9月に労災認定してからだ。高橋さんは極端な長時間労働などにより、うつ病を発症したとみられている。

 では、どのくらいの長時間労働がうつ病を引き起こすのか。心筋梗塞や脳梗塞が過労死リスクを高めることは多くの研究で示されているが「うつ病などとの関係を追跡したデータは限られる」と北里大学大学院の田中克俊教授は指摘する。うつ病などは健康診断で測定する心電図や血圧などのデータに表れず、発症したタイミングや因果関係の特定が難しいからだ。

効率悪く悪循環

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 数少ない研究報告のうち比較的有名なのは、英国のグループが数千人の公務員を追跡調査した結果だ。1日の労働時間が11時間を超えていた人は7~8時間の人に比べ、約5年後のうつ病の発症リスクが2.4倍ほど高かったとしている。

 田中教授は長時間労働が睡眠時間の短縮を招く点を重視する。「体調は神経系、免疫系、内分泌系などの連携で管理されており、昼間の負担を睡眠によって夜のうちに取り除かないと心身の病気のリスクが高まる」とみる。

 日本精神科産業医協会代表理事の黒木宣夫・勝田台メディカルクリニック院長も「残業で睡眠時間が減ると頭が働かなくなって時間内に業務を遂行できず、残業がさらに増える悪循環に陥りやすい」と警告する。肉体的な疲れ、人間関係など他のストレス要因がわずかでも加わると持ちこたえられなくなり、時には自殺に至る。

 企業約30社の産業医を務める医療法人社団同友会の大室正志医師は、診断の経験などから「睡眠が5時間を切るあたりからうつ病や適応障害などのメンタル不調が増える」と指摘する。通勤時間を考えると、5時間睡眠は月100時間程度の残業に相当するという

 本人が自覚していない場合もあるが「長時間労働と短時間睡眠が数カ月続くと仕事の生産性は明らかに低下する」(大室医師)。たとえば60分でできていた仕事に90分かかる、メールの返信が遅れるようになる、などだ。残業と睡眠不足で生産性の低い社員が増えれば国全体としての生産性も下がる。

 退社から次の出社まで一定の時間を空ける「勤務間インターバル制度」は、心身の不調を招く長時間残業を避けるのに有効だと期待されている。欧州で先行導入され、ドイツでは原則11時間の休息を義務付ける

 ただ、日本はドイツに比べて通勤時間が長いので11時間空けても実質的な休息時間は短くなる。9時間空けるとする企業もあるが、短すぎるとの見方が多い。北里大の田中教授は「本来は健康の基本である適正な睡眠時間の確保を第一に考え、そこから逆算して労働時間を決めるべきだ」と発想の転換を求める。

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