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大人の鼻血に要注意 高血圧や飲んでいる薬の影響も

 日本経済新聞電子版

大人になって、突然鼻血が出るとドキッとする。出血が止まりにくかったり、頻繁に繰り返したりするなら、注意が必要だ。大人の鼻血につながる病気を知って、気になる人は早めに耳鼻咽喉科を受診しよう。

写真はイメージ=(c)Wavebreak Media Ltd-123RF

 小さい子供は転んだり、人とぶつかったりするだけでも鼻血を出しやすい。子供特有の症状と考えられがちだが、実は鼻血は中高年以降にも多く見られる。

 空港前クリニック(新潟市)耳鼻咽喉科の川崎克院長は「鼻血で来院する人を調べたところ、10代以下と60代以上にピークがあった」と指摘する。子供は季節にあまり関係なく来院するが、大人の場合は乾燥した寒暖差のある季節に増えるのが特徴だという。

 鼻血の9割は、鼻の穴から1センチメートルほど奥にあるキーゼルバッハ部位で起こる。鼻の皮膚と粘膜の境目にあり、細く小さな血管が密に集まっているので、ちょっとした傷でも出血する。

 子供の鼻血は鼻炎や鼻をほじるクセなど、鼻の粘膜に原因があるので、鼻血が出やすい半面、指で圧迫することでほとんどの場合は止まる。

 大人の鼻血は高血圧や糖尿病、腎臓症などの病気や、飲んでいる薬の影響など、全身の状態がからんでいることが多い。東京慈恵会医科大学付属病院(東京・港)耳鼻咽喉科の浅香大也講師は「子供の鼻血と比べると、大人の鼻血は止まりにくく、出血量も多くなるので注意が必要」と話す。

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 川崎院長は「中高年の男性の場合、動脈硬化が進んで血管がもろくなっており、血圧も高い。鼻腔(びくう)の奥の太い血管から出血するケースも多い」と指摘する。鼻血が出たら、まずは正しい対処法で、止血できるかどうかを見極めよう。

 椅子に腰掛けて、軽く下を向いた姿勢を保つ。小鼻と呼ばれる、鼻先の左右のふくらみを親指と人さし指でつまみ、5~10分間ほど保持する。ティッシュペーパーは挿入しても、しなくてもよい。ティッシュを詰めた場合、頻繁な交換は粘膜を傷つけるので避けよう。この対処法で血が止まらない場合は、注意が必要な鼻血といえる。

 浅香講師は「高齢者は止まらない鼻血が原因で貧血を招くことがあるので、早めの受診を」と勧める。脳梗塞や心筋梗塞の治療で血液を固まりにくくする抗凝固薬(ワーファリンなど)、抗血小板薬(バイアスピリンなど)を飲んでいる場合も、鼻血は止まりにくくなるという。

 耳鼻咽喉科では、血管を収縮させる薬をしみ込ませたガーゼなどを詰めたり、傷ついた粘膜を高周波で焼いたりするなど、専門的な方法で鼻血に対処する。鼻腔の奥の太い動脈から出血している場合は、鼻の穴から内視鏡を挿入し動脈をレーザーで焼く、クリップで止める、といった治療法もある。

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 大人になって、頻繁に鼻血を繰り返すという場合も要注意だ。鼻血の背後に、重要な病気が隠れているケースがある。

 例えば、オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)は血管の形成に異常が起こる病気で、40歳以上の患者の9割が鼻血を繰り返すといわれている。放っておくと肺の血管などに血栓ができやすくなり、脳梗塞などの原因になる。鼻血をきっかけに、精密検査などを勧められる例は多い。

 鼻血ががんの早期発見につながることもある。東京慈恵会医科大学付属病院では鼻血で受診する患者も多く、そのなかにまれではあるが副鼻腔腫瘍が見付かることがあるという。浅香講師は「過度な心配は不要だが、繰り返し鼻血が出る場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診してほしい」と話している。

(ライター 荒川直樹)

[NIKKEIプラス1 2018年5月12日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療」からの転載です。