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胸焼け、ムカムカの原因 胃液逆流はこう予防

高脂肪食控える/きついベルトもダメ

 日本経済新聞電子版

胃液や食べた物がこみ上げてきたり、胸や喉の違和感が続いたりしたら、「逆流性食道炎」を含めた胃食道逆流症かもしれない。原因は胃液などの頻繁な逆流。食事の取り方を工夫し、生活習慣の改善で予防しよう。

写真はイメージ=(c)liza5450-123RF

 胃食道逆流症とは、胃液など胃の内容物が食道に逆流することで起きる病気の総称だ。よく知られている逆流性食道炎も含めて「近年、日本人に急速に増えている」と兵庫医科大学(兵庫県西宮市)内科学消化管科主任教授の三輪洋人氏は警鐘を鳴らす。

 健康な人の体内でも、ある程度の逆流は日々起きている。ところが頻繁に繰り返されると、胃液の中の酸性度が非常に強い胃酸が引き金となって「胸焼けや呑酸(どんさん)を覚えるようになる」(三輪氏)。胸焼けは胸骨の後ろに感じる灼熱(しゃくねつ)感やムカムカ感、呑酸は喉や口の中に酸っぱいものがせり上がってくる症状だ。

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 胃食道逆流症は食道粘膜がただれてできる「びらん」の有無で2種類に分かれる。胃酸が食道の粘膜を傷つけて炎症が起き、内視鏡でびらんが見えると逆流性食道炎。びらんが見られないのに、胸焼けなどの不快症状が強いのが非びらん性胃食道逆流症だ。

 「非びらん性は若い人に増えている。ストレスによる食道の知覚過敏が原因ではないか」と国立国際医療研究センター(東京・新宿)消化器内科診療科長の秋山純一氏は話す。逆流や炎症の度合いと、自覚症状の強さは必ずしも一致しないと覚えておこう。

 胸焼けと呑酸の他に、胸の痛みや気管支ぜん息、喉のつかえなどを訴えるケースもある。胃食道逆流症は心臓病や食道がんなど重篤な病気と症状が似ているので、早期の診断が必要だ。命に関わる病気ではないが、放置するとQОL(生活の質)が下がる。

 逆流が起きる原因の1つは、胃と食道の境目にあって胃の内容物が食道に逆流するのを防ぐ「下部食道括約筋」の機能低下だ。

 高齢者に多い食道裂孔(れっこう)ヘルニアも一因だという。食道裂孔ヘルニアとは、横隔膜に開いている食道が通るための穴が、自然な老化現象で緩み、本来は横隔膜の下にある胃の一部が上に飛び出している状態を指す。胃と食道のつなぎ目にある噴門を補助的に支えていた横隔膜の力が違うところにかかるので、逆流が起きやすくなる。

 暴飲暴食による括約筋の一時的な緩みも原因になる。胃にかかる過剰な力を減らそうと、胃にたまった空気をげっぷで口へ逃がす時に逆流が起こる。食べ物と一緒に空気をたくさん飲み込みがちな早食いでも、げっぷが出やすい。

 予防には高脂肪食の摂取を控える。「脂っこい食事をすると、括約筋を緩めるコレシストキニンというホルモンが分泌される」(三輪氏)。食後すぐに横になるのも避けよう。消化のために胃酸が多く分泌されるうえ、寝た姿勢だと重力が働かず、逆流しやすくなる。「括約筋が衰えている人は、上体を少し高くして寝るとよい」(秋山氏)

 おなかを圧迫する姿勢や体形も要注意だ。草むしりや床掃除といった前かがみの姿勢を長時間続けないようにする。腹部をベルトやガードルで締め付けすぎるのもよくない。肥満、とりわけ内臓脂肪が蓄積する肥満は逆流の原因になる。減量を心がけよう。

 「衛生環境がよくなり、保菌者が減少しているピロリ菌も逆流と関係している」と三輪氏。胃がんや胃炎などを招く可能性のあるピロリ菌には胃酸を抑制する働きがある。感染していない胃は胃酸の分泌が活発になり、食道へ逆流する確率が高まりやすい。

 胃食道逆流症は様々な原因で起きる。予防には生活習慣の改善が第一だ。

(ライター 松田亜希子)

[NIKKEIプラス1 2018年4月14日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療」からの転載です。