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ごっくん運動でのどを筋トレ 飲み込み力、低下防ぐ

のど仏上げて10秒 肺炎での死、誤嚥性が7割

 日本経済新聞電子版

食事中にむせやすくなった、せき払いが増えたと感じる人は「飲み込み力」が衰えているかもしれない。飲み込む力が落ちて誤嚥(ごえん)性肺炎になるリスクを下げるためにも、意識的にのどの力を鍛えよう。

「飲み込み力」の衰えを感じたら、「ごっくん運動」でのどの筋力を鍛えよう。写真はイメージ=(c)PaylessImages-123RF

 「若くても、意識的にのど(喉頭)を動かすことができない人は多い」と話すのは、神鋼記念病院(神戸市中央区)耳鼻咽喉科の浦長瀬昌宏科長。浦長瀬科長は同科で嚥下(えんげ)トレーニング外来を開設し、食べ物を飲み込む嚥下の機能を改善する指導に取り組んでいる。

 浦長瀬科長によると、飲み込む機能は60代から低下するのが一般的だが、のどの筋力は40代から衰え始めるという。

 呼吸やまばたきを自然にするのと同様に、食事中に飲み込むことを意識する人はほとんどいない。そのため「飲み込み力が弱まってきても気づきにくく、飲み込みづらさを自覚したときには嚥下機能の低下が進んでいることが少なくない」(浦長瀬科長)。

 食べ物を飲み込むとき、喉頭(のど仏の周辺)がポンプのような動きをすることで食べ物が食道へ送られる。加齢などでのどの筋力が弱まると、喉頭がうまく上がらなくなり、食べ物や唾液が気管に入り込む誤嚥(ごえん)が起きやすくなる。

 誤嚥が原因で、肺に侵入した細菌が炎症を起こして発症するのが誤嚥性肺炎だ。池袋大谷クリニック(東京・豊島)の大谷義夫院長は「肺炎はがん、心疾患に次いで日本人の死因の第3位。うち7割以上が誤嚥性肺炎」と話す。

 誤嚥には本人が気付く顕性誤嚥と、就寝中など気付かぬうちに起きる不顕性誤嚥の2種類があるが、「高齢者では後者が原因の肺炎の方が多い」(大谷院長)。

 食事中にむせやすくなる、のどが詰まるような違和感がある、せき払いが増えるといった傾向があれば、飲み込み力が衰え始めたサインの可能性があるので要注意だ。「今のうちから意識的に喉頭を動かしていけば、食事中の誤嚥はもちろん、唾液がのどの中にたまりにくくなって、就寝中の誤嚥も起きにくくなる」(浦長瀬科長)。

 のどの筋力を鍛える「のどトレ」は、食事中ののどの動きを意識することから始めよう。

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 食べ物を飲む込みときにのどに手を当てると、のど仏が上下に動いたり、あごの下に力が入ったりするのが分かる。「女性ののど仏は見つけにくいので、だいたいの位置で構わない」(浦長瀬科長)

 飲み込むときののどの動きがイメージできたら、まずは水を飲むなど意識的に飲み込む動作を。次第に水がなくても「ごっくん」と飲み込む動作ができるようにする。続いて、のど仏を上下に大きく動かす練習で可動域を広げていく

 最終的には、飲み込んだあとにのど仏を上げたまま、あごの下に力を入れ続ける状態を維持できるようにする。

 「最初は少量の水を飲んで、のど仏を上げる練習をするといい」と浦長瀬科長。「慣れてきたら、水なしで飲み込んだ状態を10秒キープし、最後は勢いよく息を吐き出す。1日2~3回取り組むと、飲み込み力を強化できる」

 高齢になり嚥下障害が進んでしまってからだと、こうした練習そのものが難しくなる。浦長瀬科長は「専門外来の指導が必要になる前に、予防的なトレーニングを広めたい」という思いから、嚥下トレーニング協会(東京都三鷹市)を設立した。

 同協会の「のどトレ教室」で講師を務める玉沢明人理事は「今後はのどトレの講師の養成にも力を入れ、全国的に指導できる場を増やし、誤嚥予防の普及に努めたい」と話している。

(ライター 田村知子)

[NIKKEIプラス1 2018年3月10日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「健康づくり」からの転載です。