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「食べたいけど、太りたくない」 そんな人のための5つの食べ方

食べ過ぎを抑えるには?代謝を上げるには?

 及川夕子=ライター

 冬の宴会シーズン到来。毎年この時期は、寒くて運動不足になりがちなうえついつい過食してしまい、体重がドーンと増えてしまうという人も多いだろう。太り過ぎてしまうと、その後のダイエットが大変になるため、太る前に対処しておきたいもの。そこで、大人のダイエット研究所代表で管理栄養士の岸村康代さんに、食べ過ぎを抑える工夫や代謝を上げる食べ方を教えてもらった。実践すれば、冬太りを気にすることなくパーティーや忘年会を満喫できるはず。ポイントとなる5つの食べ方を紹介しよう。

食べたいものを我慢せず食べながらも太らない、そんな食べ方のコツはあるのか?(c)wang Tom-123rf

食べ方その1「ヨーグルトファースト」で食べ過ぎ防止

食事の前にヨーグルト、これで血糖値の急上昇や食べ過ぎを防げる(c)diamant24 -123rf

 太りにくい食事の基本は食べ過ぎないことだが、食事をとる順番にも注意が必要だ。空腹状態で大量の糖質をとると血糖値が急上昇しやすく、体内では血糖値を早く下げようとしてインスリンが大量に分泌されてしまう。インスリンは細胞内に糖を取り込む働きがあり、エネルギーとして使い切れなかった糖は脂肪として蓄積されるため、その結果、太りやすくなる。

 食後血糖値の急上昇を防ぐために一般に良いとされるのがベジタブルファースト(野菜や海藻を食事の始めに食べる食事法)だが、岸村さんがベジタブルファーストのほかに特にお勧めするのが、ヨーグルトを食事に出かける前にあらかじめ食べておく「ヨーグルトファースト」だ。

 「食前にヨーグルトをとることで、野菜を食べるのと同じように食後血糖値の上昇が抑えられるほか、満腹感が得られて自然と食べ過ぎ防止にもなります。ヨーグルトの良いところはオフィスや出先でもより手軽に食べられること。不足しがちな栄養素であるカルシウムも補え、整腸作用があるなどの利点があります」と岸村さん。

 ヨーグルトファーストのやり方は簡単で、食事の前に200gのヨーグルト(カップのヨーグルト約2個分)をとるだけ。できればプレーンヨーグルトをチョイスしたい。

ヨーグルトファーストのメリット

  • オフィスや出先でも実践しやすい
  • 食後血糖値の急上昇を抑え、脂肪の蓄積を防ぐ
  • 満腹感が得られ、腹持ちも良く食べ過ぎ防止になる
  • 大人が不足しがちなカルシウムを手軽に補給できる
  • 整腸作用で便通が良くなる

実際の効果は…?

 大人のダイエット研究所が行ったヒト試験では、白米だけを食べたときや、白米の後にヨーグルトを食べたときに比べ、白米の前にヨーグルトを食べたとき(ヨーグルトファースト)のほうが、血糖値の上がり方が緩やかになった。このヨーグルトファーストはベジタブルファーストと同等、もしくはそれ以上の血糖値抑制効果があり、食後2時間経過時の血糖値はヨーグルトのほうが抑えられたという。

【図1】ヨーグルトが食後の血糖値上昇に与える影響
白米だけを食べた場合に比べ、ヨーグルトを一緒に食べたときのほうが血糖値の上下動が緩やかになった。特にヨーグルトを先に食べたときのほうが、後に食べたときより血糖値の上がり方が緩やかになった ※大人のダイエット研究所調べ(図2も)
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【図2】ベジタブルファーストとヨーグルトファーストの比較
ヨーグルトファーストは、ベジタブルファーストと同等もしくはそれ以上の血糖値抑制効果があった
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【試験方法】
健康な20~40代男女各10人に、A~Dの全パターンの食事を規定の時間で食べてもらい、食後の血糖値を経時的に測定し、血糖値(平均値)の時間経過による変化を調べた。

  • A(包装米飯150gを摂取)
  • B(サラダ101gを摂取したのち、包装米飯を138g摂取)
  • C(包装米飯120gを摂取したのち、ヨーグルトを200g摂取)
  • D(ヨーグルト200gを摂取したのち、包装米飯120gを摂取
※包装米飯=電子レンジなどで簡単に温められるパックされたご飯のこと
※GI値測定のプロトコルに基づき、試験を実施。各パターンで糖質量を50gに統一しているため米飯の重量は微妙に異なる。

食べ方その2 おからパウダーで満腹感をアップ

 次に紹介するのは、食物繊維をプラスする方法。食欲が止まらない人や食事を制限するとその反動で食べ過ぎてしまうという人に、特にお勧めだ。

 「不溶性の食物繊維は、おなかの中で膨れやすく、満腹感を得やすいという特徴があります。食物繊維は野菜からもとれますが、忙しいビジネスパーソンにお勧めなのは、おからを乾燥させた『おからパウダー』です。水分を含むと膨らむため、おなかがすぐにいっぱいになりますし、パウダー状なので携帯も可能。外食の際にも、料理にかけたり飲み物に混ぜたりして手軽にとることができます。おからに含まれる食物繊維には整腸作用もあり、便通改善効果も期待できます」と岸村さん。

 大人のダイエット研究所が豆腐製造会社の男性社員14人の協力を得て行った調査でも、おからパウダーを1食当たり大さじ1以上とることを4週間続けた結果、体重や体脂肪、腹囲が有意に減ったという(*1)。また、モニター14人中9人が「腹持ちが良い」と回答した。

 おからパウダー大さじ1には、約1.2~1.5gの食物繊維が含まれる。生おからの約4倍もの量だ。日本人の食事摂取基準(2015年版)では、食物繊維の目標量は、18歳以上で1日当たり男性20g以上、女性18g以上とされているが、目標量に達している人は少ない。毎食おからパウダー大さじ1を習慣にすると不足分も補える。

 「食べ方としては、ヨーグルトにおからパウダーをかけて食前にとるのもお勧め」と岸村さん。「ヨーグルト+おからパウダー」の組み合わせで、「食べ方その1」の満腹感アップの効果がさらにパワーアップすること請け合いだ。

おからパウダーの活用ポイント

  • 1食ごとに大さじ1杯のおからパウダーを、いつもの食事にプラスしてとろう。ハンバーグに練り込んだり、スクランブルエッグに混ぜるなど、調理時に入れてもいい。水には溶けにくいため、味噌汁やコンソメスープのような粘度の低い料理より、カレー、ミートソース、中華丼など、粘度の高いものに混ぜるのが岸村さんのお勧めだ。

  • おからパウダーをとる際は水分をたっぷりとること。食物繊維は、水分を吸収して膨らむことで腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進する。逆に水分が足りないと、一時的におなかが張る、ガスがたまる、便秘になるなどの症状を感じることもある。「そのため水をたっぷりとることは不可欠。胃腸の弱い方や便秘などが心配な方は、おからパウダーを少量から始め、徐々に量を増やして体に慣れさせながらとること。甘酒やヨーグルトなどの発酵食品と一緒にとるのもよいでしょう」(岸村さん)
おからパウダーの使用例。とろみのあるものに混ぜるのがお勧めだそうだ(写真提供=大人のダイエット研究所)
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おからパウダーのメリット

  • 満腹感が得られるため、食べ過ぎを防げる
  • 不溶性食物繊維とたんぱく質をたっぷりとれる
  • 悪玉菌が減少し腸内環境が整う

おからパウダーの使用例

  • シリアルやグラノーラと一緒にヨーグルトにかける
  • カレーやミートソースパスタにかける
  • バジル、粉チーズにおからパウダーを合わせてふりかけ、トッピングとして様々な料理に加える
  • スクランブルエッグや卵焼きに混ぜる

食べ方その3「たんぱく質+ビタミンB群」で代謝を底上げ

 太らない体作りのためには、運動をしてエネルギー消費量を上げることも大切だが、実は食べることでもエネルギー消費量を上げることができる。というのも、1日のエネルギー消費量は、基礎代謝、食事誘発性熱産生、身体活動の3つからなり、このうち、食事によって消費されるエネルギー(食事誘発性熱産生)は全体の10%程度を占めているからだ。例えば1日2000kcalを消費する人なら、200kcalが食事誘発性熱産生となる。

 「この熱産生量は、食事でとる栄養素に左右され、たんぱく質をとることで熱産生量を上げることができます。たんぱく質は、筋肉の減少を防ぎ基礎代謝を維持するためにも欠かせない栄養素ですね。そして、糖質や脂質をエネルギーに変えるためにはビタミンB群が必要です。肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質とビタミンB群が豊富なニンニクや枝豆、きのこなどを毎食とることで、代謝アップにつながり、太りにくくなります」(岸村さん)

代謝アップのためにとりたい食品リスト

  • ビタミンB群をまとめてとれる食材として枝豆、ニンニク、キノコ類、豚肉など
  • たんぱく源として、脂身の少ない豚肉、牛肉、卵、納豆、豆腐など

 たんぱく質は、肉・魚なら手のひら1枚大、納豆なら1パック、卵なら1個を目安に、毎食とることが理想。水溶性のビタミンB群は、摂取後時間がたつと体外に排出されてしまうため、こちらも毎食とるようにしたい。冬は豚肉とキノコたっぷりの鍋料理などもお勧めで、ビタミンB群は水溶性なので汁ごととるようにしょう。

食べ方その4 早い時間に食べる

 「18時を過ぎると、1時間過ぎるごとに体内でB-MAL1という体内時計をつかさどるたんぱく質が増え、体脂肪を蓄積しやすくなります。また、夜になるほどエネルギー消費の機会が減るため、脂肪を蓄積しやすくなります。夜遅い食事は、そうしたダブルのダメージによって太りやすくなることを忘れずに」と岸村さん。

 残業などで夜遅くなるときには、食べ方を変えよう。例えば、18時ごろまでにご飯やパンなどの炭水化物をとっておき、帰宅後の夕食は野菜スープなどで済ませる。こうすると、同じものを食べていても太りにくくなる。

 「長年の食習慣を変えようとすると、一時的にはつらいと思います。でも慣れてくれば体調も良くなってきて、継続しやすくなるはず。健康のためにも、本来の24時間の生活リズムを考慮して、体へのダメージの少ない時間に食べることを意識しましょう」(岸村さん)

宴会の日はどうする?

宴会ではなかなかコントロールしにくいが、自分でおつまみを選べるなら野菜中心のメニューを選ぼう。幹事なら、宴会をいつもより1時間早めにスタートするという手も。かえって喜ばれるかもしれない。

深夜勤務の人の食べ方

深夜勤務の人では、帰宅後(朝の時間帯)に夕飯を食べて満腹のまま寝るという生活になりがちだ。改善のコツは、帰宅後の寝る前の食事はたんぱく質と野菜を中心にすること。豆乳などで空腹を落ち着かせてもいい。そして起床後に、ご飯をしっかり食べるようにしよう。

食べ方その5 食べ過ぎた翌日は手のひらいっぱいの野菜をとる

 食べ過ぎが積み重なると、確実に太りやすくなる。たくさん食べた翌日は、エネルギーが少ない野菜中心の食事にして、早めのカロリーコントロールを心がけよう。

 「野菜中心のメニューは、体に優しいという点からもお勧め」と岸村さん。「野菜にはナトリウムの排出を促すカリウムが含まれているものも多く、塩分の多い外食が多い人など塩分のとり過ぎによるむくみ予防にも役立ちます。また、暴飲暴食は肝臓や腸の慢性炎症を引き起こし、老化や生活習慣病の引き金になることが近年分かってきました。野菜には炎症を防ぐためのポリフェノールも含まれているものが多いです」

 野菜中心のメニューは、食べ過ぎ・飲み過ぎた翌日のリハビリ食としても優秀。ぜひ取り入れよう。

食事抜きは厳禁。胃腸が弱っているときには別メニューで

 食べ過ぎたからと、くれぐれも食事を抜いたりしないように。その後反動で食べ過ぎてしまったり、空腹時間が長くなれば次の食事で血糖値の急上昇を招いてしまう。結局、体へのダメージが大きくなり、逆効果となるからだ。


 注意点がもう一つ。生野菜を大量にとると、かえって胃腸に負担をかけてしまうことがある。胃腸が弱っているときには、野菜をよく煮込んだスープや温泉卵など、体に負担の少ない消化のよいものをとるようにしよう。

岸村康代(きしむら やすよ)さん
一般社団法人大人のダイエット研究所 代表理事 管理栄養士
岸村康代(きしむら やすよ)さん 病院やメタボリックシンドローム指導の現場でダイエットのサポートをしてきた経験や野菜ソムリエなどの資格を生かし、商品開発、事業開発、講師、メディア出演など、多方面で活躍。大人のダイエット研究所では、忙しい大人が無理なく健康になるためのおいしくて体にいい食の推進を行っている。近著に『10日間でやせ体質に生まれ変わる野菜レシピ』(アスコム)。