話題のヒアリ、もし刺されたらどう対処?
ハチ刺傷経験があると危険な場合も
加納亜子=日経メディカル
世間で騒がれているほど過剰に心配する必要はない

前述した通り、「ヒアリの毒は致死性が高いものではない。そのため、世間で騒がれているほど過剰に心配する必要はない。国内にはオオハリアリという毒針を持つアリがいる。報道が過熱すると、オオハリアリに刺された患者がヒアリに刺されたと勘違いし、軽症でもあわてて救急車を呼ぶ可能性がある」と夏秋氏は懸念を示す。
オオハリアリ(学名:Pachycondyla chinensis)は、体長4mmで脚が明褐色でその他は黒色のアリの一種。ヒアリとの違いは「ヒアリは体幹の色が赤茶色だが、オオハリアリは黒色。また、刺されたときの痛みがオオハリアリではチクリとする程度の痛みだが、ヒアリでは灼熱感を伴う。また、オオハリアリの毒とハチ毒には交叉性はないと見られている」と夏秋氏は言う。
患者が来院した場合には、痛みの程度に加え、刺された場所の違いによりヒアリかどうかを疑うべきだという。「現時点では、人家の近くでガーデニングをしている際に刺されたと患者が訴えた場合にはオオハリアリによる刺傷と捉えてよいだろう。逆にコンテナターミナルなどで刺されていれば、ヒアリによる刺傷の可能性を考えたい」と夏秋氏。
また、何に刺されたのかはしっかりと確認すべき。「現実にはなかなか難しいが、潰した後でも構わないので、刺傷したムシを持参してもらえるのが理想だ」と夏秋氏は話している。
なお、環境省自然環境局の資料「ストップ・ザ・ヒアリ」には、セロハンテープに貼り付けて、テープ内に閉じ込めたり、ピンセットでつまんで小瓶やフィルムケースに入れるなどと採集する方法が記載されている。
【参考資料】 ・ヒアリ(Solenopsis invicta)の国内初確認について ・大阪港におけるヒアリの確認について(女王アリの確認) ・ヒアリの簡易的な見分け方
