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「座ったきり」は腰痛の元凶!「股関節ストレッチ」ですっきりほぐす

整形外科医・中村格子さんが指南する「究極のストレッチ」(2)

 中村格子=Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長

 ズキズキと憂鬱な腰痛に慢性的に悩んでいる、という人は多いかもしれない。しかし、ただ腰に湿布を貼るなどしてしのぐだけではいつまでも痛みからは解放されない。「腰痛が起こる一因に、股関節の硬さがある」と、Dr.KAKUKOスポーツクリニック(東京都渋谷区)院長で整形外科医の中村格子(かくこ)さんは言う。日中、座り姿勢の時間が長い人は、体を支えようと骨盤が後ろ側に倒れることによって、股関節の動きが悪くなりがち。股関節をほぐす効果が高い3つのストレッチで、腰もすっきり軽くなる!

座り仕事によって股関節の柔軟性が失われる

 腰まわりがすっきりしない。鈍く痛む。腰だけでなく、ときどき脚の付け根やお尻までズキズキすることもある―。このようなときは「股関節をほぐすストレッチで、痛みの悪化を改善できる可能性が高い」と整形外科医の中村格子さんは言う。

中村格子(なかむら・かくこ)さん
整形外科医・医学博士 スポーツドクター
Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長。横浜市立大学整形外科客員教授。 横浜市立大学医学部卒業。同大学附属病院、国立スポーツ科学センター医学研究部研究員などを経て、2014年より現職。
 トップアスリートから一般の人まで指導・治療。『大人のラジオ体操』(講談社)はシリーズ累計82万部。著書多数。

 腰痛と股関節が関係しているの? と不思議に思えるかもしれない。

 股関節とは、脚の付け根の部分にある関節のこと。上半身と下半身をつなぎ、周囲の軟骨や筋肉、腱に支えられながら、脚の前後左右、回転といった動きがスムーズに行えるように働く関節だ。

 股関節は複数の筋肉に支えられているが、なかでも、ももの内側にある筋肉「内転筋」やもも裏の筋肉「ハムストリングス」が硬いと、その可動域(動かせる範囲)が狭まりやすくなる。実は、これら股関節を支える筋肉が衰える原因は、座り姿勢にあるという。

 「座り姿勢の時間が長いと、内ももの筋肉には出番がありません。また、体を楽に支えようと背中をイスの背に預けると、骨盤が後ろ側に倒れる。すると、もも裏の筋肉にも出番がなくなり、収縮して硬くなります。股関節を作る土台となる骨盤が後ろに傾くと、体の姿勢も崩れます。すると、脊椎(背骨)の中でも腰の部分にある腰椎が姿勢をなんとか立て直そうとがんばり、一部分に過剰な負担がかかる。このため、腰痛が起こりやすくなるのです」と中村さん。

 また、股関節が硬いと、立ち上がる、歩く、しゃがむといった動きを脊椎と分離して行うことができないため、股関節の硬さを脊椎が代償するように。ここでも腰椎に負担がかかり、腰痛悪化の原因となる。

股関節ストレッチで股関節をほぐす

 股関節は、立つ、歩くといった動作につねに大きく関わっているが、座り姿勢が長かったり、日常の中で単調な動作しかしていないと、股関節を動かすチャンスはことごとく奪われてしまう。

 すると、股関節周囲の筋肉もほとんど使われず、かちかちの状態に。このまま、かちかちの股関節を放っておくと、腰痛の悪化は避けられないし、立ち歩く姿勢もいっそう老け込んでいってしまう。

 かちかちの股関節を、柔軟に、スムーズに動かせるよう変えていく効果が高いのが、ここから紹介する3つの「股関節ストレッチ」だ。

◇     ◇     ◇

 1つ目の「股関節ストレッチ1」は、四股ふみ姿勢でおなじみのもの。「このストレッチを行うときは、ひざを内側から後ろ側に押すのがポイント。硬くなった内ももの“内転筋”を伸ばし、股関節をほぐしていきましょう」(中村さん)。

STEP 1 股関節を柔らかくする

股関節ストレッチ1
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1 脚を大きく開き、つま先は外側に向ける。つま先とひざの皿を同じ方向に向けて、上体を真っすぐ立てたまま腰をひざの高さに落とす。

2 股関節が硬いとひざが内側に入ってしまうので、肩入れをし、手でひざの内側から後ろ側にぐーっと押し、股関節を開こう。5~10秒キープ。5回行う。反対側も同様に。




 2つめの「股関節ストレッチ2」は、骨盤を立てる、という基本姿勢を大切にしよう。「股関節が硬い人は、内ももの“内転筋”とともに、もも裏の“ハムストリングス”も硬くなりがちです。これは、座り姿勢によって骨盤が後ろに倒れ、ハムストリングスが縮むからです。なのに、骨盤が後ろに傾いたままで無理をして前屈しようとすると、股関節を傷めてしまう可能性があるので、とても危険です」(中村さん)。大きく開脚することにこだわるのではなく、骨盤を立てる、という基本姿勢を大切にすることが効かせるポイントとなる。

STEP 2 もも裏のハムストリングスを柔軟に

股関節ストレッチ2
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1 床に座り、骨盤を立てて背すじを伸ばす。両ひざは曲がった状態でOK。骨盤が後傾しないようにしっかり立てる。

2 骨盤を立てた状態で、両ひざを伸ばし、基本姿勢をつくる。できる範囲でいい。手をお尻の後ろに置き、支えながら行うとやりやすい。

3 骨盤を立てた状態を維持しながら上体を倒す。倒せるところまででよいので、ほどよいストレッチ感を感じながら5秒キープ、5回行う。

4 繰り返すうち、もっと上体を倒せそうになったら、少しずつ両手を前に移動させて倒す。

 そして最後の「股関節ストレッチ3」は、骨盤の前後バランスを正す効果が高いので、座り時間が長い人はぜひ行いたい。

 股関節まわりをしなやかにし、骨盤の傾きをニュートラルな状態に整える習慣を作ることで、腰痛が楽になる。

STEP 3 骨盤の前後バランスを正す

股関節ストレッチ3
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1 右脚を前に出してひざを直角に曲げ、左ひざは床につける。両手は腰骨に添える。

2 上体は動かさず、腰を丸めるようにして骨盤を後ろに倒し、左脚の付け根が伸ばされているのを感じる。10秒キープ、3回行う。反対側でも同様に。

◇     ◇     ◇

 今回紹介した3つの股関節ストレッチを毎日行うと、腰のだるさが取れ、腰痛の予防効果も期待できる。全身のバランスが整うので、姿勢もぐっと若々しくなるはずだ。

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(取材・文:柳本 操/写真:鈴木 宏/モデル:島村まみ/スタイリング:椎野糸子/ヘア&メイク:依田陽子)