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12歳アイドルが「テレビ番組でヘリウムガスを吸引して意識障害」の顛末

小児科学会がInjury Alert(傷害速報)を掲出

 増谷彩=日経メディカル

 日本小児科学会は、テレビ番組の企画でヘリウムガス入りスプレー缶を吸引して意識障害となり、脳空気塞栓症の疑いとなった12歳女児について、事故の発生状況や治療経過をまとめた。2015年5月22日、同学会のウェブサイトに「Injury Alert(傷害速報)」として掲載した。

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 事故が発生したのは2015年1月28日。女児は、他の番組出演者とともに、ヘリウムガス入りのスプレー缶(ヘリウム80%、酸素20%の混合ガス。容量5000cc)またはガスが充填されていない空のスプレー缶を吸入し、1人だけ声が変わるというゲームを行っていた。1回では結果が分かりにくかったためやり直しとなった。2回目にゲームを行った際、女児は4秒ほど吸引した直後から右手を震わせ始め、約5秒後に後方へ倒れた。受け身が取れず、後頭部を強打して、全身性硬直性間代性けいれんを起こした。

 救急要請によって救急隊が接触した際には、軽度の意識障害(JCS 20)と低酸素血症(SPO2 89%)を認めたため、酸素投与を受けながらの搬送となった。意識障害(E1V2M4/JCS 200)が遷延するため、ICUに入室。入院2日目以降に意識状態は徐々に改善するものの、6日目に再度けいれんを起こした。そこで搬送時に撮影した頭部MRT像を再検したところ、皮質・皮質下優位に多発性の拡散低下があり、頭部CT像でも同部位の低吸収域が認められた。

 ここで、臨床経過から空気塞栓症の可能性があると判断。高圧酸素療法を行った結果、左半身の麻痺の改善傾向や自然開眼などの臨床所見の改善を認めたため、ヘリウムガス吸引をきっかけとした脳空気塞栓症と診断された。2015年2月5日の時点では、追加の高圧酸素療法を行っているが、高次脳機能障害を残す可能性があるとされている。

 日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会は、「テレビやソーシャルメディアなどでコメディアンやタレント、一般人が面白おかしくヘリウムガス入りスプレー缶を使用することで、それを見ている子ども達がまねをして同様な事故が起こる可能性がある」と指摘。今回を含め、ヘリウムガスの吸引による幼児や児童の事故は複数発生していることが確認されており、欧米では死亡事故が増えているとの報告があるという。そのため、「小児科医を中心とした医療者が事例を通じて一般人や企業を啓発することで社会的に周知させる、缶表面の表示を目立つようにする、あるいは成人にしか販売しない」といった対策の必要性を訴えた。

関連サイト(日本小児科学会)

Injury Alert No.53 ヘリウムガス入りスプレー缶の吸引による意識障害(PDF)

この記事は、日経メディカルからの転載です。
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