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梅毒の勢い止まらず、年間5000人突破の恐れも

不特定多数との性的接触を避け、コンドームの適切な使用を

 高橋義彦=医学ライター

不特定多数との性行為の増加が原因か

 梅毒急増の背景には、不特定多数との性行為の増加があるとみられている。梅毒は、性的な接触(感染者の粘膜や皮膚との接触)などによってうつる。具体的には、性器と性器、性器と肛門(アナルセックス)、性器と口(オーラルセックス)の接触などが原因となる。

異性間での感染が急速に広がっているのが、近年の梅毒の特徴だ。(©Valerii Sidelnykov-123rf)

 梅毒は、2010~2013年ごろは男性間の性行為で感染するケースが増加していたが、2014年以降は異性間の性行為による患者が増えている。特に女性では、大多数が異性との性行為による感染だ。

 梅毒の病原体である梅毒トレポネーマの感染力は非常に強い。しかも、初期症状(陰部、口唇などのしこりなど)を見逃してしまうことが多い。このため、感染を自覚しないまま相手にうつしてしまい、蔓延の原因となる。特に、早期梅毒(第1~2期=感染後約3年間)の患者は、相手にうつす可能性が高い(1回の性行為で感染させる確率は約30%とされる)ため、性行為を控える必要がある。最近は、このように感染力の高い早期梅毒の報告例が男女ともに多い。

コンドームの適切な使用でリスク減少、ただし万能ではない

 梅毒の感染を予防するには、何より不特定多数との性行為を避けることが大事だ。性感染症に感染しているかどうか明確ではない相手との性行為では、コンドームの使用が不可欠だ。梅毒のさらなる増加を警戒する厚生労働省も「コンドームの適切な使用によりリスクを減らすことができる」と強調している。ただし、梅毒は陰部や肛門、口腔以外の場所にも潰瘍などの病変が生じるため、コンドームだけでは完全に感染予防できないことにも留意しなければならない。

 コンドームの使用に際しては、以下のような点に注意を払おう。

・使用期限を過ぎていないものを使う
・装着前に穴が開いていないかどうかを確認する
・精液溜めに空気が入らないよう装着する
・射精後、ペニスを腟から抜く時にコンドームが腟内に残らないようにする

 コンドームの使用期限は通常は5年とされ、それを過ぎると劣化して破損のリスクが高まるので注意したい。高温多湿の場所に放置するなど、保管状態が悪い場合は劣化も早まる。

 こうした感染予防策は、エイズやクラミジア、淋菌感染症など、梅毒以外の性感染症を予防することにもつながる。エイズの原因ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染者の約半数が梅毒に感染しているとの報告もある。自分とパートナー、さらに生まれてくる子どもを守るために、ぜひ感染予防に努めていただきたい。

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この記事は2016年5月17日に公開した記事をアップデートしたものです。
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