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せきやくしゃみが「肩こり」助長。血行改善で予防を

季節性アレルギーこりを防ぐための「4つのアドバイス」

 伊藤和弘=フリーランスライター

 春はスギ花粉や黄砂によって、アレルギー疾患に悩む人が最も多くなる季節。アレルギーが原因のせきやくしゃみから、肩こりや背中の痛みにつながる“季節性アレルギーこり”を訴える人も増えるという。2月22日、呼吸器専門医として知られる池袋大谷クリニック(東京・豊島)の大谷義夫院長が、東京・大手町で行った講演「春から夏にかけて起こりやすいアレルギー症状によるこりや不調のメカニズムとケア法」の内容をお届けしよう。

この季節、せきやくしゃみで肩こりや首の痛みを訴える人が増えるという(©PaylessImages-123rf)

 アレルギー疾患に悩む人が増えている。池袋大谷クリニックの大谷義夫院長は、「今や日本人の2人に1人はアレルギーの時代。国民病であるスギ花粉症も3人に1人が発症しています。特に3月から5月は、アレルギー疾患に悩む人が最も多くなる季節です」と話す。

 スギ花粉症は3月にピークを迎えるが、4月からゴールデンウイーク(GW)にかけてはヒノキ花粉症に悩まされる人が増えてくる。また、中国から飛んでくる黄砂やPM2.5の飛散量もこの時期がピーク。これらによって鼻炎やぜんそくを起こす人も少なくない。

 実際、春はアレルギー症状がひどくなりやすい。2016年12月、大谷院長は医療衛生用品などを製造販売するピップと共同で、アレルギー症状による服薬経験を持つ20~50代の男女416人にアンケート調査を行った。「秋よりも春先の方がアレルギー症状を強く感じますか?」という質問に対し、73.8%が「イエス」と回答している。

せきやくしゃみによって肩こりや首の痛みが

せきやくしゃみをするときは前傾姿勢になりやすい。これも、こりを助長する原因だ(©Eric Gevaert-123rf)

 アレルギー症状の鼻水や鼻づまりから、せきやくしゃみが出やすくなるが、それによって肩、首、背中にこりやハリを感じる人も意外と多い。

 大谷院長とピップの調査によると、83.2%の人は「せき、くしゃみをするとき身体に力が入ってしまう」と回答。「アレルギー症状によるせきやくしゃみが原因で筋肉痛や肩こりなどの経験がある」人も43.5%いた。これがいわゆる“季節性アレルギーこり”だ。

 「1回せきをすると2キロカロリーのエネルギーを使うというデータもある。たくさんせきをすることは、肉体的にも疲れるんです。また、せきやくしゃみをするときは周囲に迷惑をかけないように前傾姿勢になりやすい。これも、こりを助長します」(大谷院長)

 ちなみに大谷院長とピップの調査でも、「体を縮こませるのは周囲の人に迷惑をかけないため」という質問に71.1%の人が「イエス」と答えている。

 なぜ前傾姿勢がいけないかというと、肺を圧迫して酸素の取り込み量が少なくなるため。その結果、筋肉に運ばれる酸素が減り、こりがひどくなってしまうという。

姿勢ひとつで大きく変わる「肺年齢」

 大谷院長は、姿勢による肺年齢の違いも調べている。33歳の健康な男性に、1秒間強く息を吐いてもらって肺年齢を調べた。普通の姿勢で行ったときは18歳と出たが、前傾姿勢で行うと41歳に。姿勢ひとつで23歳も肺年齢が変動した。

 さらに、呼吸が浅くなって酸素の取り込み量が減ると、他にも弊害が表れる。「ブドウ糖や脂肪の代謝がうまくできず、疲れやすくなったり、太りやすくなったりします」と大谷院長。そんなことからも、深い呼吸をして血行を改善することが重要になる。

大谷院長の「4つのアドバイス」

 具体的にはどうすればいいのだろう? 血行を改善して、季節性アレルギーこりを防ぐため、大谷院長は以下4つの方法をアドバイスする。

1. 口すぼめ呼吸をする

 2秒間鼻から息を吸い、口をすぼめて6秒間ゆっくり息を吐く。これを10回程度繰り返す。「吸うことよりも吐くことを意識すると、深く息を吸えるようになります」と大谷院長。ゆっくり息を吐くことで副交感神経が優位になり、リラックスできる効果もある。

2. 鼻呼吸を心がける

 大谷院長によると、「口よりも鼻で息を吸った方が多くの空気を取り込める」という。鼻毛のおかげで、ウイルスや花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を起こす原因物質)が体内に侵入する量も少なくなる。

 鼻呼吸をするため大谷院長が勧めるのは「口に水を含んで日常生活を行う」こと。口を開けると水がこぼれてしまうため、鼻で呼吸せざるを得ない。つまり、強制的に口呼吸をできなくするわけだ。つい口で呼吸してしまう人は、ぜひ試してほしい。

3. 水分をしっかりとる

 血行を良くするためには、水分をとることも重要だ。特に花粉症などでマスクをしている人は、水分補給が少なくなりがちなので気をつけよう。

 水を飲むことで、のどの粘膜の乾燥を防ぐこともできる。のどの粘膜には線毛が生えていて、鼻毛やへんとう腺と同じく、ウイルスやアレルゲンの侵入を防いでいる。「乾燥すると、この線毛の動きが悪くなり、アレルギー症状が起こりやすくなります」と大谷院長は話す。

4. 磁気治療器を使う

 肩や首のこりに悩んでいたら、市販されている磁気治療器を使ってみるのもいいだろう。その効果は決してバカにできない。「40代の女性にネックレス型の磁気治療器を使ってもらうと、1週間で明らかに首や肩の血行が良くなっていました」と大谷院長。

 周囲の迷惑を気にする傾向が強い日本人は、せきやくしゃみをするとき、より小さく縮こまりがち。季節性アレルギーこりに悩んでいる方は、ここに挙げた「4つのアドバイス」を参考に、つらい季節を乗り切ってほしい。

大谷義夫(おおたに・よしお)さん
池袋大谷クリニック院長
大谷義夫(おおたに・よしお)さん 1963年生まれ。群馬大学医学部卒業。東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、同大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授、米ミシガン大学留学などを経て、2009年より現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医。日本アレルギー学会専門医・指導医。著書に「長引くセキはカゼではない」(KADOKAWA)、「マスクつけるだけダイエット」(扶桑社)など。