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知ってビックリ! 健診のウソ・ホント

BMI値が低くて痩せている分には病気の心配は不要?

 田村知子=フリーランスエディター

会社勤めを続けている限り、避けては通れない職場の健康診断。自覚症状のない病気を見つけてくれるのは有難いが、仕事に追われるなかで再検査を受けるのはできれば避けたいのが人情。異常値を指摘されたとしても、どこまで生活を見直せばよいのか、今ひとつ釈然としない人も多いだろう。このコラムでは、各種検査への臨み方や結果の見方、検査後の対応など、誤解交じりで語られやすい職場健診についてわかりやすく解説する。

Q  BMI値が低くて痩せている分には病気の心配は不要?

A  いいえ。BMI値が低い「痩せ」の人の方が、がんや心疾患による死亡率が高く、平均余命は短い。

 職場健診では、肥満度の指標に「BMI(ボディ・マス・インデックス=体格指数)」の数値が用いられている。BMIは、体重(kg)を身長(m)で2回割ると算出できる。例えば、身長が170cmで体重が70kgの人の場合は「70(kg)÷1.7(m)÷1.7(m)」で、BMI値は24.2となる。

BMI=体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]

 職場健診の判定の目安にも多く使われている日本肥満学会による判定基準では、BMI値が18.5未満は「低体重」(痩せ)、18.5以上25未満は「普通体重」、25以上は「肥満」となっている。この基準によると、日本では24%の人が肥満と判定される。一方、WHO(世界保健機関)はBMI25以上30未満を「過体重」、30以上を「肥満」と定義しており、この定義に基づいた研究も多い。

 いずれにせよ、一般的には太り過ぎは良くないとされ、職場健診でBMIの数値が高く肥満と判定された人は、生活改善が求められる。

 ところが、厚生労働省と東北大学が約5万人を対象に、1995年から2006年まで実施した12年間の追跡調査によれば、ベースラインで40歳だった人の平均余命は男女ともに、「痩せ(BMI18.5未満)」の人が最も短かった(出典:生活習慣・検診結果が生涯医療費に及ぼす影響に関する研究)。逆に最も平均余命が長かったのは「過体重」(BMI25.0以上30.0未満)の人で、最も短い「痩せ」の人と比較すると、その差は男性で7.10年、女性で6.26年の開きがある。

40歳以上の人の体型別に見た平均余命
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厚生労働省と東北大学が、宮城県に住む40~79歳の約5万人を対象に、1995年から2006年までの12年間に死亡までの追跡調査を実施した結果。「過体重」の人が男女ともに長生きであることが分かる。

肥満でなくても糖尿病になる人は多い

 東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一氏によれば、神奈川県伊勢原市で40歳以上の住民(2万2099人)を追跡調査したところ、「痩せ(BMI18.4以下)」は「標準体重(同18.5以上24.9以下)」や「過体重(同25.0以上26.9以下)」の人と比べ、がん(悪性新生物)や呼吸器系疾患(肺炎など)、虚血性心疾患(心筋梗塞など)、脳血管疾患(脳梗塞など)での死亡率が高まる傾向があったという。「これは、痩せの人のほうが栄養不足による心血管の障害を起こしやすいためと考えられています」(大櫛氏)。

痩せ型の人はがん、肺炎などによる死亡率が高い
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東海大学名誉教授の大櫛陽一氏が、神奈川県伊勢原市で40歳以上の住民(2万2099人)を平均7.5年追跡して、BMIと死因を調査した結果。(出典:大櫛陽一、栗田由美子:健診結果と原因別死亡率に関する住民コホート研究。Mumps 2008;24:9-19)

 さらに、一般的には、肥満による糖尿病を心配する人が多いが、大櫛氏は「糖尿病を発症した人の55%は肥満ではなく、BMIが25未満の標準および痩せの人」という。つまり、痩せ型の人でも、糖尿病になるリスクがあるということだ。

 「様々な調査を見る限り、男女ともにBMIが25~27の人、つまり“小太り”の人が、最も元気で長生きです」と大櫛さんが言うように、肥満だけでなく、痩せ過ぎにも注意が必要だ。

大櫛陽一(おおぐし よういち)さん
東海大学名誉教授、大櫛医学情報研究所長
大櫛陽一(おおぐし よういち)さん 1947年生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。大阪府立羽曳野病院、大阪府立成人病センター、大阪府立母子センター、大阪府立病院などを経て、1988年東海大学医学部教授に就任。2006年に全国約70万人の健康診断結果から、日本初の男女別・年齢別基準範囲を発表。2012年より現職。『検査値と病気 間違いだらけの診断基準』『メタボの罠』など著書多数。
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