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「わたしも、がんでした」

実際にがんとどう付き合えばよい?

病院編 がんと共に生きる、働く時代がやってきます(3)

 堀田 知光=国立がん研究センター理事長

「がんになった=仕事も、人生ももうおしまい」という時代は終わりました。いま、日本では、働きながら治療をするサポートシステムが整えられようとしています。がんと共に生き、働く時代。それを家族、医療のプロ、職場、地域社会など周囲の人みんなが支える時代がやってくるのです。

 そんな時代にがんになったら、本人は、家族は、周囲は、どう考えどう行動すればいいのでしょうか。まず、がん治療と研究に長年携わってきた立場から、現在おすすめできる具体的な対処法を説明します。

 また、がんになっても生きやすい社会にしていくためには、これから何が必要なのでしょうか。いま、私たちが取り組んでいることを紹介しましょう。

がんを、闘病を、上手に「マネジメント」していきましょう。

 がんと共に生き、働くためには、常に患者さん本人の「心構え= マインドセット」を念頭に置きながら、「実際に何をするか=行動のマネジメント」が大切です。心構えと行動がセットとなって成果を出す。何らかの形で仕事をした経験がある方なら、すぐにお気づきでしょう。そう、これは普段の仕事と同じです。

 では、実際にどんな行動からスタートすればいいのでしょうか?

 患者さんの「心構え= マインドセット」が、がんに向き合えるようになった段階で、まず必要なのは、自分の病気や置かれている状況をしっかり理解すること。つまり「正確な情報の収集」です。正しい対処のためには、正しい情報が不可欠です。自分の病気や体調、治療法などを、病院と相談しながら、できる範囲で記録していきましょう。

図1◎ 療養手帳を活用しましょう
国立がん研究センターがん対策情報センター わたしの療養手帳はこちらからPDFをダウンロードできます(クリックするとページにジャンプします)
[画像のクリックで拡大表示]

 がんと上手に付き合っていく「行動のマネジメント」の第一歩、それは「情報の収集と整理」です。それができると、曖昧な不安が消えて、具体的に次に何をすべきかが、はっきり見えてきます。

 「情報の収集」と同時に欠かせないのが、患者さんご本人が家族、職場、医療者を巻き込んで「対策チーム」をつくることです。逆にいえば、まわりの方は、医師や看護師などの医療スタッフと共に、積極的に患者さんを支えるチームの一員になってください。

 「がんと共に生きるために、治療をする」というプロジェクト達成のためにチームをつくる。これも、ビジネスの現場と同じだと思います。がんの治療をしながら、職場に復帰し、生活をするには、治療以外に、食事、運動、睡眠時間、仕事の割り振り、ワークライフバランス、情報収集、さらにはお金の管理など、やることがたくさんでてきます。がんにかかった患者さんひとりでできることではありません。だから、周囲がチームになる。これが絶対に欠かせないのです。

 行動を起こしても、がんにかかった患者さん本人が、再び落ち込んだりすることがあります。そんなとき、患者さんを支え、「がんと共に生きる」道筋をつくるのは、具体的な行動をマネジメントすること。そして、そのマネジメントをサポートする、家族や職場や医療者による「チーム」なのです。

 次は、身近で大切な家族ががんになったときに、すべきことについてお話します。

国立がん研究センターがん対策情報センター編
『わたしも、がんでした。 がんと共に生きるための処方箋』 (日経BP社、2013年9月発行)より転載


堀田 知光(ほった ともみつ)さん
国立がん研究センター理事長
堀田 知光(ほった ともみつ)さん 1969年名古屋大学医学部卒業。独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター院長などを歴任後、2012年より現職。厚生労働省「未承認薬使用問題検討会」座長ほかさまざまな政府委員も務め、ドラッグラグ解消やがん登録推進などの課題にも積極的に取り組んでいる。

『わたしも、がんでした。 がんと共に生きるための処方箋』
(国立がん研究センターがん対策情報センター編、日経BP社)好評販売中

 医学の進歩によって、「がん=迫りくる死」ではなくなっています。実はかなり多くの人が、がんと共に社会で暮らしています。しかし、がんと共に生きることや働くことは、日本社会ではまだまだ普通のことと思われていません。がんと共に生きるとは、働くとは実際にはどういうことなのか。それを知っていただくために、本書ではがんに関わる当事者の方々に語っていただきました。──「はじめに」より

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