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ヒトは食べたパンからできている

第2章 What Is 肥満?-カロリーを抑える食事

 塚崎朝子=ジャーナリスト

 カロリーの語源は、ラテン語のcalor(熱)。遠い昔、理科だったか家庭科だったか、「1気圧の下で1gの水の温度を1℃上げるのに必要な熱量が1cal」と習ったはずだ。エネルギーの単位と言えば、「カロリー」だったが、今や理科では、「ジュール」(1Wの電力を1秒間使った時に発生する熱量)がすっかり幅を利かせている。しかし、栄養学の世界では、カロリーは栄養素と並び、不動の主役である。

人のカラダは食べたものの結果(©pogonici-123rf)

 「人はパンのみにて生くものにあらず、されどまたパンなくして人は生くものにあらず」とは、マルクス主義経済学者、河上肇の名言(『貧乏物語』)だが、これは、栄養学的にも正しい。ヒトが生きるためのエネルギー源は、食糧からのみ供給されている。

 エネルギー代謝の恒常性が維持されるのは、生体には食欲を制御する摂食調節機能が備わっていて、エネルギー出納のバランスを取っているためだ。一時的に過食しても、長続きさせず、肥満に陥らないようにする仕組みだ。ただし、摂取カロリーと消費カロリーの出納のアンバランスが長く続くと、あふれたエネルギーが、体脂肪を合成し始める。内臓脂肪による腹囲の増加は、とりわけ、30~40歳代の男性では著しく目立ってくるようになる。哀しいかな、中年太りという奴だ。

 エイコサペンタエン酸、カプサイシン、カフェイン、カルニチン、ポリフェノール…内臓脂肪の減少に関与する成分は、いくつか知られている。しかし、食品は1つの成分で構成されているわけではないし、特別な食品を取り続けることは全く現実的ではない。

 神奈川県立保健福祉大学学長で日本栄養士会名誉会長の中村丁次氏は、「腹囲を減少させるには、体内にエネルギー不足状態を作りだし、体脂肪を分解させることが原則」と語る。腹囲を1cm減少させるには約1kgの減量が必要で、エネルギー量に換算すると約7000kcal。これを1カ月で達成するには、1日当たり、約240kcalの不足状態を作らなくてはならない。

運動で100kcal増、食事で140kcal減が目安

 元の引き算に立ち返って、摂取カロリーを減らすか(食事)、消費カロリーを増やすか(運動)という観点で考えれば、「運動で100kcal増、食事で140kcal減」ぐらいが、無理のないペース配分になる。

 食事だけを減らすと、体が必要とする栄養素を維持できなくなる恐れがあるので、BMI(*1)30以上の重症肥満以外は、最小摂取エネルギーを男性1600kcal、女性1400kcalにして、これ以下にしないようする。急激な減量は、体にはもちろん、心にも負担が大きすぎる。程々のペースを守り、長期にわたって食事をコントロールすべきで、低栄養障害を起こさない程度のエネルギー不足状態を作ること、減量後もリバウンドを起さない食事療法が必要となる。

 戦後、日本人の食生活が欧米化したが、中村氏は、「粗食の伝統的な和食に栄養価の高い欧米食が入ってきて適度にミックスされたのが、今の我々の食事」だという。確かに、我々は、世界中のあらゆる食品を、ご飯のおかずにして食べている。こうして栄養素のバランスが満たされたことも、世界一の長寿国に一役買っている。脚気もビタミンA欠乏による夜盲症も、食塩過剰摂取による脳出血も減った。世界で活躍するアスリートも登場した。しかし、トレードオフで、エネルギー摂取過多からくるメタボや、その先の動脈硬化が生じてきている。

 実は、1人当たりのエネルギー摂取量は1975年の2200kcalをピークに減少傾向にあり、伸び続けていた動物性脂質の摂取量も、近年は減少傾向にある。一方、運動は、第一章の「ヒトはなぜメタボになるのか―進化から読み解くメタボ」で示した車の台数の伸びと呼応するように、1日の歩数も、週2回・30分以上の運動習慣をもつ人の割合も、ほぼ全年代で減っている。日本人のメタボは、むしろ、消費エネルギーの低下による影響が大きいとも言えるが、運動量を増やすにも限界があるとしたら、食事を減らすしかない。

*1 Body Mass Index:体格指数=体重(kg)/身長(m)2

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