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その異常値、戻しましょう!~ STOP・メタボの12ステップ~

引き算の結果でしかない脂肪の行方

第2章 What Is 肥満?―脂肪もさまざま

 塚崎朝子=ジャーナリスト

 昭和世代の庶民のヒーローと言えば、寅さんこと車寅次郎。『男はつらいよ』の主題歌にある、「目方で男が売れるなら、こんな苦労もかけまいに♪」というフレーズは、泣けます。
 2008年4月に導入された「メタボ健診」では、何とも屈辱的なことに、40~75歳の中高年男女は、有無を言わさず“痛くもない腹”を測られることになりました。男であれ女であれ、その価値は体重やウエストの大小では決められません。が、「内臓脂肪に生活習慣病が重なると、多くの病気が起こる」というメタボリックシンドロームの本質を捉え、適切な対処をしなくてはなりません。

 「利益とは売り上げから経費を差し引いた結果でしかない。入るを量って、出ずるを制する」とは、日本を代表するカリスマ経営者、稲盛和夫氏の名言である。それにならえば、「(身に貯まった)脂肪とは、摂取カロリーから、消費カロリーを差し引いた結果でしかない」。そう、肥満とは、単純明快な引き算の結果だ。利益を最大にすれば、名経営者として名を残せるが、必要以上に脂肪を増やしても、禍根を残すだけ。カロリーは、「入るを制して、出ずるを量る」ほうがいい。

皮下脂肪・内臓脂肪・異所性脂肪の違い

 そもそも、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは、腹囲から推測される内臓脂肪の量をベースとする病態の概念だったが、世の中には、「肥満症」という病気もある。そもそも肥満は、BMI(*1)に基づいて判定される。

 BMI25以上に加えて、肥満に関連して減量を要とする健康障害(耐糖能障害・2型糖尿病、脂質異常、高血圧、骨・関節疾患…)などを合併する場合、あるいは、健康障害はなくても内臓脂肪型肥満である場合を、「肥満症」と定義する(表1)。脂肪細胞の異常によって、脳梗塞や心筋梗塞が起こってくるのはメタボと同じだし、過体重は骨・関節にも負担となる。

表1◎ 肥満症とは

・BMI 25以上で、肥満に関連した、減量を必要 とする健康障害(耐糖能障害・2型糖尿病、脂質異常、高血圧、高尿酸血症・痛風、脂肪肝、骨・関節疾患、睡眠時無呼吸症候群、月経異常など)を伴うもの

・BMI 25以上で、上記のような健康障害はなくても、検査によって内臓脂肪型肥満と診断されたもの

 メタボに肥満症が重なっている人もいれば、メタボだけ、肥満症だけという人もいる。もっとも、引き続き、内臓脂肪は“極悪”呼ばわりされているし、両者の線引きにこだわっている暇があったら、脂肪の減量に励んだほうがいい。

 進化医学に基づけば、本来、脂肪は飢餓の時代に備える「貯金」であり、太古の時代は蓄えが多いほうが、危機管理として優れていた(過去記事「ヒトはなぜメタボになるのか―進化から読み解くメタボ」参照)。脂肪の付き方にもポートフォリオがあって、皮膚の下の皮下脂肪は「定期預金」、貯まりにくいが、いったん貯まると減りにくい。これに対し、内臓脂肪は「普通預金」で、食べ過ぎもしくは運動不足で、余剰となったカロリーは、皮下脂肪に比べて貯まりやすいが、減らしやすい。男性と閉経後の女性は、内臓脂肪を貯めこみやすくなっている。

 ここで少しだけ、内臓脂肪の肩も持っておきたい。内臓脂肪は、内臓同士がぶつかり合わないよう、緩衝材として大事な役割もしている。また、口から肛門に至る腸管は外界に通じているために病原菌と常に接している。このため腸管周囲の内臓脂肪には、防御機構のための免疫細胞が多く備わっている。

 さて近年、皮下脂肪でも内臓脂肪でもない、第3の脂肪、「異所性脂肪」が注目されている。肝臓や膵臓、骨格筋など、本来細胞が貯まるはずでない場所、「異所」に貯まる、毒性の高い脂肪だ。肝臓に貯まれば脂肪肝を引き起こし、肝がんの大きなリスクにもなる。膵臓に付くとβ細胞が破壊されてインスリンが作られなくなって糖尿病が起こる。

 東京医科歯科大学糖尿病・内分泌・代謝内科教授の小川佳宏氏は、「メタボの人は、摂取したカロリーが溢れており、異所性脂肪が貯まっていること多い。また、日本人は、痩せていても異所性脂肪が貯まりやすく、隠れ肥満が多い」という。

*1 Body Mass Index:体格指数=体重(kg)/身長(m)2

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