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EDは性機能の障害だけでなく、動脈硬化の前ぶれ

口の中で溶けるタイプの薬も登場する一方、偽造薬では死者も

 田中美香=医療ジャーナリスト

1130万人もの日本人男性が悩むといわれる勃起障害・勃起不全(Erectile Dysfunction、以下ED)。「年のせいだから仕方ない」と考えて放置する人が多いが、EDは性機能の障害にとどまらず、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす「動脈硬化」の前ぶれでもあることが分かってきた。昭和大学藤が丘病院副院長・泌尿器科教授の佐々木春明氏に、EDと動脈硬化の関係や、新しいタイプのED治療薬などについて聞いた。

発症年齢のピークは2つ、第2のピークは動脈硬化と関係

EDといっても、ピクリとも勃起しない人もいれば、勃起はするが萎えるという人もいて、幅があります。どのような状態をEDと呼ぶのですか。

EDは性機能の障害にとどまらず、動脈硬化の前ぶれでもある。(C)marcos calvo mesa-123rf

佐々木 EDとは、満足な勃起が得られない、あるいは勃起を維持できず性交で満足感を得られない状態をいいます。「性交はうまくいかないけどマスターベーションは問題ない」「5回の性交のうち4回はうまくいく」という人もEDに該当しますし、「性交はできるが硬さが足りない」という人も軽症のEDといえます。

 日本のED患者は約1130万人と推計されています(*1)。しかし、これは中等度から重度の人だけを指す数字にすぎません。上記のような軽症の人も含めれば、さらに膨大な数になると思われます。

EDは「年のせい」で片づけられがちですが、加齢だけが原因なのでしょうか。

佐々木 図1の通り、EDになりやすい年齢には2つのピークがあり、原因がそれぞれ異なります。第1のピークは30代後半から40代前半に多い、精神的な理由による「心因性ED」です。この年代は子作り世代でもあり、妻からは「明日は排卵日だから」と“仲良くする日”を指定され、親からは「孫はまだか」とプレッシャーをかけられます。高齢出産に該当する場合は特に、精神的重圧も強くなります。そんな状況で勃起するのは難しい上、一度うまくいかないと余計に萎えてしまいます。

 第2のピークは、50代から60代にかけて起きる「器質性ED」です。これは、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、メタボリックシンドローム、肥満、加齢などにより、血管が硬く、もろくなる(老化する)ことが原因です。

 性的な刺激を受けると、脳から「勃起しなさい」という指令が出ます。それが勃起神経に伝わって陰茎動脈に血液が流れるのですが、老化した血管は硬くて血液がうまく流れ込みません。十分な血液が届かないので、勃起しても硬さが足りない、あるいは勃起しない状態に陥ります。

図1 EDになりやすい年齢のピークは2つある
(資料提供:昭和大学藤が丘病院泌尿器科)
[画像のクリックで拡大表示]
*1 丸井英二. わが国におけるEDの疫学とリスクファクター. 医学のあゆみ. 2002;201:397-400.

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