現在、日本人の4人に1人が「頭痛持ち」であるといわれます。頭痛はごくありふれた身近な病気でありながら、緊急性のある頭痛から、長く付き合っていかなければならない頭痛まで、症状も対応の仕方もさまざまです。今回のテーマは慢性頭痛。その特徴や治療について、慶應義塾大学病院神経内科教授の鈴木則宏氏に聞きました。
慢性頭痛ってどんな頭痛?
一口に頭痛と言っても、痛みの表れ方はさまざまです。どのような種類があるのでしょうか。

鈴木 まず、一次性頭痛、俗にいう慢性頭痛は、頭痛自体が病気という位置づけです。慢性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの分類があります(表1)。痛みのために日常生活が困難になる人もいますが、残念ながら、命に別状がないために軽んじられている感が否めません。
それに対して、二次性頭痛と呼ばれる頭痛もあります。こちらはくも膜下出血や髄膜炎、脳出血のように、緊急性のある病気の一症状、氷山の一角として頭痛が出るものです。
片頭痛 | 緊張型頭痛 | 群発頭痛 | |
男女差 | 思春期から更年期過ぎの女性が中心で、男性より女性の方が3倍以上多い | 若年~中高年の女性に多い | 1000人に一人の割合で現われる。20~40代半ばくらいの男性に多く、女性はまれである |
---|---|---|---|
痛みの特徴 | ドクドクと拍動するような痛み。長くても72時間程度でおさまる | ぎゅーっと締め付けられるような痛みで、片頭痛よりは軽いが、朝起きてからずっと続くことが多い | アイスピックで目の奥を突かれるような痛みが夜中に起こり、2時間ほど続く |
その他の症状 | 体を動かすと悪化する/吐き気・嘔吐がある/光や音が気になる | 首や肩が張る/運動をすると改善しやすい/ふわふわしたり、めまいのようなのぼせた感じがする/熟睡できないことが多い | 痛い側は涙・鼻水が出て、目が充血する/額に汗をかく/動き回らずにいられない/アルコールで誘発される |
起こる時期 | 週末・休日に多い/毎日は起こらない | 週末・休日は関係ない/毎日起こる | 不定期に起こり、群発期が1~1.5カ月続く |
治療 | トリプタンが第一選択(経口薬・点鼻薬・自己注射) | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)/筋弛緩薬/抗不安薬・抗うつ薬 | 即効性があるのはトリプタンの自己注射/100%の純酸素吸入 |
この記事の概要
