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精力減退が気になり始めたら、血管ケアの開始どき

 荒川直樹=科学ライター

まだまだ男盛りの中高年に容赦なく襲いかかる体の悩み。医者に相談する勇気も出ずに、1人でもんもんと悩む人も多いことだろう。そんな人に言えない男のお悩みの数々を著名な医師に尋ね、その原因と対処法をコミカルで分かりやすく解き明かす。楽しく学んで、若かりし日の輝いていた自分を取り戻そう。

 41歳の営業マン。10歳年下の妻も働いているが、休みのときはいつも一緒の、いわゆる「おしどり夫婦」だ。オレのモットーは「年の差なんて感じさせない!」で、体力づくりのために毎週ジム通い。そんな二人の関係が、いまビミョーだ。きっかけは、妻の「妊活宣言」。タイミング法といって毎月、指定された日にセックスすると妊娠しやすいというのだが、ときには仕事で疲れている日もある。義務で行う行為にしんどさを感じるようになり、ついに「挑みはすれど達成せず」…の、まさかの精力減退状態に。最近では、街で美人を見てもときめきゃしない。妻は黙ってふくれているが、オレだって焦っているんだー。
(イラスト:川崎タカオ)

 当たり前のことだけど、フツーの男性は「いつでもオッケー」の臨戦態勢にあるわけじゃない。とくに30~40代になれば、仕事上の責任が重くなって精神的なストレスは増すばかり。運動する余裕もないのでスタミナも落ちてくる。もちろんそれは妻だって同じことなのだが…。

 そんなこんなで夫婦には、それぞれの「間合い」というものがあるわけだが、どちらかの体調の変化、または「妊活」、育児による多忙などの状況の変化をきっかけに、お互いの歯車がきしみ始めることもある。男性の場合、一度うまくいかなかったことで、セックスに不安を感じるようになり、精力が減退して、ED(勃起不全)になってしまうケースが多い。

 東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)リプロダクションセンターの永尾光一センター長は「最近では、女性の排卵日に基づいて特定の期間にセックスを行う方法(タイミング法など)が広まっているが、この方法による成功率はそれほど高くなく、長期間に及ぶと男性も精神的ストレスを感じるようになる。その結果、夫が精力減退を訴える場合が多い」と話す。

精力減退から約3年で心臓血管障害を

 メンタルの問題として何かと放っておきがちな精力減退は、特に中高年の男性では、「肉体の異常を示す重大なサインが隠れていることもある」と永尾センター長は指摘する。

 「精力減退の原因には、精神的ストレス、うつに加えて、糖尿病にもつながる代謝性疾患、LOH(加齢男性性腺機能低下)症候群などが考えられ、最近は、動脈硬化など心臓血管障害の初期症状としても注目されている」(永尾センター長)と話す。

 動脈硬化が進むと心臓に血液を送る冠動脈が狭くなって狭心症を起こしたり、脳梗塞の発症リスクを高めたりする。動脈硬化の影響は細い動脈ほど早く出るが、最も細いのが血管内面の直径が1~2ミリのペニス。それに対して、冠動脈の直径は3~4ミリと、ペニスの動脈に次いで細い部類に入る。

体内の動脈の太さの比較
動脈のある部位血管の太さ
ペニス1-2mm
心臓の冠動脈3-4mm
頸動脈5-7mm
大腿6-8mm
陰茎の血管内径が小さいので、陰茎では血管障害が早く出る。(永尾センター長の資料を基に編集部で作成)

 永尾センター長は「陰茎の細い血管が詰まり始めると精力減退の兆候が出始める。2003年に発表された研究論文では、兆候が現れてから約3年で心臓の冠動脈疾患の発症リスクが高まることが明らかになった」と話す(Montorsi F.et.al.Eur Urol 2003;44:360-5)。

 中高年男性なら誰でもドキッとするデータだ。性機能はいつまでも10代、20代と同じというわけにはいかない。永尾センター長も「中高年のセックスでは、途中で雑念が入って『中折れ』ということはあるものなので、それほど気にしなくてもいい。ただ、マスターベーションの最中にも萎えてしまうようなら精力減退はかなり進んでいる恐れがある」と話す。

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