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だんだんひどくなる物忘れ、認知症との境目は?

朝1分のスケジュール会議でうっかり忘れを防止

 荒川直樹=科学ライター

まだまだ男盛りの中高年に容赦なく襲いかかる体の悩み。医者に相談する勇気も出ずに、1人でもんもんと悩む人も多いことだろう。そんな人に言えない男のお悩みの数々を著名な医師に尋ね、その原因と対処法をコミカルで分かりやすく解き明かす。楽しく学んで、若かりし日の輝いていた自分を取り戻そう。

アパレルメーカーの営業部門で働く49歳。最近、物忘れがひどくなったような気がする。昨年、他部門へ移動していった部下の名前が出てこない。「あの、ひょろっとした人」なんて言ったりする。自宅では、自動車のキーを置いた場所を忘れ、出かける前に大慌て。注意力も散漫になっているのか、左右違う靴を履いていたことも…。これぐらいなら笑ってすませるが、先日、急に入ってきた仕事に追われていたら、取引先との重要な会議の予定がスコーンと抜けてしまった。ギリギリで部下に指摘されて冷や汗ものだ。妻は「年のせいだからしょうがないじゃない」と気楽に話すけど、まだギリギリ40代。一度、病院で診てもらった方がいいのかなあ。
(イラスト:川崎タカオ)
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 大好きだった映画の女優や歌手の名前が出てこない。若い頃、夢中になったギターを久しぶりに出してきたが、曲をほとんど忘れている。バッグのどこかにしまったはずの手帳が見つからなくて、取引先でバッグをひっくり返すなど大騒ぎ……。こうした「物忘れ」は誰でも体験したことがあるだろう。

 東京医科歯科大学の朝田隆特任教授は「こうした物忘れのなかには、アルツハイマー病の初期症状など、『悪性』の物忘れが潜んでいる可能性がないわけではない。しかし、50代、60代でごく一般的な物忘れが増えてくるのは加齢によるものと考えていい」と話す。誰にでも起こるものだから心配したって始まらない。それよりも「早く自分の状態に気づき、生活や仕事でちょっとした工夫をすることで、さまざまな問題は解決できる」(朝田特任教授)という。

「エピソード記憶」が抜けたら要注意

 一言で物忘れといっても、その内容はさまざまだ。我々が経験する物忘れを医学的な分類ではなく、主な事例で示すと以下のようになるという。

(1)しまった(置いた)場所を忘れて探し回る

 帰宅後、カギを置いた場所を忘れ、出勤前にあわてて探し回る。大事な時計だからと丁寧に保管したのに、その場所を忘れる(しまい無くし)。

(2)スケジュールを忘れる(展望記憶)

 午前中、予期せぬ作業でてんてこ舞いしてたら、午後2時に会議があることをすっかり忘れてしまった。

(3)体験したことを忘れる(エピソード記憶)

 先月、法事で田舎に帰ったことをまったく覚えていない。数十分前に自分で家族に話した内容を覚えていない。

(4)今までできていたことができない(手続き記憶)

 すっかり覚えていたはずのピアノの名曲を思い出せず、途中から弾けなくなる。水泳が下手になったなど。

(5)適切な言葉が出てこない(語健忘)

 自分が体験したことを話そうと思っても、ふさわしい言葉がなかなか出てこない。好きだった歌手の名前が出てこないなど。

 こうした物忘れの多くは、誰もが1度は経験したことがあるだろう。日常生活や仕事に支障が出ない限り、それほど心配することはない。しかし、(3)のようにエピソード記憶がスッポリ抜け落ちてしまうケースは要注意だ。早めに専門医の診断を受けるべきだと朝田特任教授は話す。

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