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魚の油が健康に良い理由は?

善玉コレステロールを増やし、中性脂肪、悪玉コレステロールを減らす

 伊藤和弘=フリーランスライター

聞きたかったけど、聞けなかった…。知ってるようで、知らなかった…。日常的な生活シーンにある「カラダの反応・仕組み」に関する謎について、真面目にかつ楽しく解説する連載コラム。酒席のうんちくネタに使うもよし、子どもからの素朴な質問に備えるもよし。人生の極上の“からだ知恵録”をお届けしよう。

肉の油はとり過ぎ注意なのに、魚の油はどうして体にいいのだろうか?(©Alexander Raths-123RF)

 最近、アマニ(亜麻仁)油エゴマ油など、「オメガ3脂肪酸(*1)」と呼ばれる油が「健康にいい」と注目されている。

 オメガ3とは脂肪酸の種類を示す言葉だ。アミノ酸が集まってたんぱく質になるように、油は3種類の脂肪酸とグリセリンでできており、そのバランスで油の性質が決まってくる。実際はアマニ油にも様々な脂肪酸が入っているのだが、特にαリノレン酸と呼ばれるオメガ3脂肪酸が多いのだ。

 脂肪酸は大きく飽和脂肪酸不飽和脂肪酸に分けられ、不飽和脂肪酸にはオメガ9、オメガ6、オメガ3などの種類がある。飽和脂肪酸とは肉や乳製品に入っている脂。オメガ9はオリーブオイル、オメガ6は一般のサラダ油、そしてオメガ3は魚の油やアマニ油に多く含まれている。魚の油に多いDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)、アマニ油に含まれるαリノレン酸、これらはすべてオメガ3脂肪酸だ。

*1 n-3系多価不飽和脂肪酸とも呼ばれる。

オメガ3は血管をしなやかにする

 オメガ3脂肪酸が注目されているのは、多くの健康効果が確認されているためだ。「血管を保護する、血管壁にくっついたLDL(悪玉)コレステロールを取り去る、HDL(善玉)コレステロールを増やして中性脂肪を減らすなど、オメガ3脂肪酸には実に多くの効用があります」と“油ドクター”の異名を持つ慶應義塾大学医学部化学教室教授の井上浩義さんは話す。

 昔からよく知られているのが「血液中の中性脂肪を減らす」効果。実際、中性脂肪を減らすための医薬品にもなっており、「エパデール」(持田製薬)の有効成分はEPAだ。19本の論文を解析した最新の研究から、血液中にオメガ3脂肪酸が多い人は心臓病を起こしにくいことも分かった(*2)。

 しかし考えてみると、「魚の油をとると血液中の油が減る」のは不思議な気がする。魚の油とはいえ、油の仲間なのに、どうしてこのような働きがあるのだろう?

 意外なことに「実は正確なメカニズムは分かっていないんですよ」と井上さん。効果は確認されているが、その仕組みはきちんと分かってはいないというのだ。

 「なぜオメガ3脂肪酸が脂質の代謝を正常化するのか、推測はいくつかできます。例えばオメガ3脂肪酸には血管をしなやかにして、拡張させる作用がある。血流が良くなると、血液中の中性脂肪がエネルギー源として全身にスムーズに運ばれるようになる。エネルギーとして有効に活用されるため、血中の中性脂肪の数値が下がるのではないか、と考えられています」(井上さん)

 脂肪酸は細胞膜の原料として使われる。血管がしなやかになるのは、血管壁を構成する細胞膜にオメガ3脂肪酸のような流動性の高い脂肪酸が入るためだ。通常、血管壁の細胞膜にはコレステロールが補強材として入っているが、オメガ3脂肪酸も代わりに入ることができる。「オメガ3脂肪酸は折れ曲がった形をしているので、血管壁にすき間ができて酸素や栄養が通りやすくなる。また、外からの力にも柔軟に対応できるようになります」と井上さん。その結果、血管がしなやかになり、血流も改善するというわけだ(下図参照)。

コレステロールとオメガ3脂肪酸の摂取が細胞膜に与える影響
血管壁の細胞膜に直線的な構造のコレステロールが入ると硬くなるが、折れ曲がった構造のオメガ3脂肪酸が入るとしなやかになる。
[画像のクリックで拡大表示]
*2 JAMA Intern Med. 2016 Aug 1;176(8):1155-66.

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