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そっくりな親子と似ていない親子、その分かれ目は?

外見から運動能力までを司る遺伝子の不思議

 伊藤和弘=フリーランスライター

親に似ない子供は祖父母からの隔世遺伝

 一方で、父親にも母親にも似ていないケースもあるが、それは祖父母の隔世遺伝を受けた子供であることが多い。少々話が難しくなるが、遺伝学の話をひもときながら説明しよう。

 遺伝子は細胞の中のDNA(デオキシリボ核酸)に乗っている。そのDNAが「ヒストン」というたんぱく質に巻きつき、小さく折りたたまれたものが染色体だ。

 通常の細胞は、父方と母方の2セットの染色体を持っている。人間の染色体は1セット23本が2セット、合計46本ある。仮に、父親の染色体がAとBの2本1セットで、2セット4本の染色体しかないとしよう。祖父方からもらった「祖父A」「祖父B」、祖母方からもらった「祖母A」「祖母B」の4本だ。

 この父親の持つ細胞から精子を作ると、染色体は1セット2本に減らされる。これは母親が卵子を作る場合も同様だ。合体して受精卵になったときに、精子の1セットと卵子の1セットの染色体が合わさって2セットになる。

 2セット4本の染色体を持つ父親が1セット2本の染色体を持つ精子を作る場合、AとBの染色体の組み合わせは以下の4通り。①祖父Aと祖父B、②祖父Aと祖母B、③祖母Aと祖父B、④祖母Aと祖母Bで、4パターンの染色体を持った精子ができることになる(下の図参照)。

多様な遺伝を生む「ランダム・アソートメント」の仕組み
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2セット4本の染色体を持つ父親が1セット2本の染色体を持つ精子を作る場合、祖父母から受け継いだAとBの染色体の組み合わせは4通り。実際には人間の染色体は1セット23本なので、2の23乗で838万8608種類もの精子や卵子ができる計算になる。

 「つまり、新たに子供を作るとき、祖父母のDNAがシャッフルされてランダムに受け継がれる。ランダム・アソートメントという現象です」と太田さん。

 その具体例として、血液型の隔世遺伝の例を見てみよう。下の図で、父は祖母1からの遺伝でA型、母は祖母2からの遺伝でB型だった(O型の遺伝子はA型、B型の遺伝子との組み合わせだと血液型には現れない)。しかし、父と母が交配する際に、父が祖父1から受け継いだO型遺伝子を持つ精子を提供し、母は祖父2から受け継いだO型遺伝子を提供する場合、その掛け合わせによって生まれた子供の血液型は、祖父1と同じO型となる。このような遺伝の仕組みによって、父母ではなく、祖父母の特徴を受け継いだ隔世遺伝の子供ができる場合があるのだ。

血液型の隔世遺伝の例
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父は祖母1からの遺伝でA型、母は祖母2からの遺伝でB型。しかし、父が祖父1から受け継いだO型遺伝子を持つ精子を提供し、母は祖父2から受け継いだO型遺伝子を提供すると、生まれた子供の血液型は祖父1と同じO型となる。

 同様に、両親ともに二重まぶただったとしても、一重まぶたの子供が生まれることもある。両親のどちらにも似ていない子供を俗に「鬼っ子」などと呼ぶが、それは祖父母や曾祖父母が持っていた遺伝子のなせる技であることが多いのだ。

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