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年をとると酒に弱くなるのはなぜか?

シニアこそ気をつけたい「アルコール依存症」

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

シニアが飲酒で気をつけるべきポイントとは

 ここまで説明してきたように、加齢により肝機能の低下や体内の水分量の減少により、酒に弱くなるのは確か。高齢になってアルコール依存症にならないためにも、そして酔っ払って転倒するなどという事態に陥らぬように、事実を正しく認識し、普段から注意を怠らないようにしたい。そこで、シニアが飲酒で気をつけるべき具体的なポイントを樋口さんに教えていただいた。

 「一番肝心なのは、やはり酒量を減らすこと。加齢とともに飲酒量を下げることをお勧めします。厚生労働省が推進している『健康日本21』でも、『65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である』と明記しています」(樋口さん)

 「では、どのくらい減らせばいいかが気になるところですが、現在、年齢別の適正酒量については明確なガイドラインはありません。目安としては『翌朝目覚めたときに残ってるな』と思うまでの量は飲まないことです。これは、最低限守らなければならないことです。個人差もあるので一概には言えませんが、少量減らすことで満足せず、できれば若い頃の半分以下まで思い切って減らすことをお勧めします」(樋口さん)

 何度か試していけば、このくらいの酒量なら翌日残る、このくらいなら大丈夫という線が見えてくるだろう。それを自分で見極めて、酒量を制限してほしい。

 「そして、飲み方も大切です。お酒はゆっくり飲むこと、また食べながら飲むことも大事です。これによって急激に血中アルコール濃度が上がるのを防ぐことができます。ウイスキー、ジンなどアルコール度数の強い酒をストレートで飲むのは避け、アルコール度数の低い酒を一貫して飲んでほしいですね」(樋口さん)

 そして脱水を防ぐため、飲みながら水を飲むことも大切だ。昨今は「和らぎ水」と称し、水が出てくる居酒屋も増えてきた。百戦錬磨の高齢者の中には、「酒を飲みながら水を飲むなんて邪道」と言う人も少なくないが、体内水分量が少ない高齢者にこそ水を飲んでほしい。

 なお、悪酔いを防ぐとうたうサプリメントやドリンク剤もあるが、樋口さんによると、それらは「あくまでも補助食品として考えたほうがいい」と言う。

 肝臓の機能や体内水分量を若い頃に戻すのは不可能なのだから、若い頃の栄光を追い求めず、素直に酒量を減らすことが一番の対策と言えそうだ。

        ◇         ◇         ◇

 「お酒は酔うためのものではなく、味わうもの」――。これは某有名蔵元の名言だ。年を重ねるほど、良いお酒を、ゆっくり少しずつ飲むことを心がけたいものである。

樋口 進(ひぐち すすむ)さん
独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長
樋口 進(ひぐち すすむ)さん 1979年東北大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部精神神経科学教室に入局、1982年国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)勤務。1987年同精神科医長。1988年米国立衛生研究所(NIH)留学。1997年国立療養所久里浜病院臨床研究部長。副院長を経て、2012年から現職。日本アルコール関連問題学会理事長、WHOアルコール関連問題研究・研修協力センター長、WHO専門家諮問委員(薬物依存・アルコール問題担当)、国際アルコール医学生物学会(ISBRA)前理事長。
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