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左党の一分

年をとると酒に弱くなるのはなぜか?

シニアこそ気をつけたい「アルコール依存症」

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

高齢者のアルコール依存症が増えている!

 こう聞くと、人生後半に入ってくると、アルコールの量は抑えめにしなければいけないのだと、しみじみ痛感させられる。しかし、このことをきちんと認識せずに、従来と同じ酒量を日々飲み続けている左党も少なからずいるだろう。また、本人は控えめにしているつもりでも、実は年齢を考えると飲み過ぎだった、などということもありそうだ。

 ここで、樋口さんから驚きの指摘があった。「近年、高齢者のアルコール依存症の人が増えている」というのだ。これは聞き捨てならない問題である。久里浜医療センターの調査によると、アルコール依存症患者に占める高齢者の割合は右肩上がりで増えている。また、少し古いデータになるが、久里浜医療センター以外の全国11の専門病院でのデータを見ても、同様の傾向が見て取れる。

久里浜医療センターの受診者(アルコール依存症)に占める高齢者の比率
(厚生労働省 障害保健福祉総合研究事業「精神障害者の地域ケアの促進に関する研究」、平成19年度研究報告書 樋口班のデータより)

 「高齢者は、前述のようにアルコールの分解速度が遅かったり、体内の水分量が少ないという理由で、少ない飲酒でも酔い方がひどくなりがちです。アルコール依存症の方の典型的な状態の1つに『連続飲酒』といって、起きている間は飲酒を継続して、一日中アルコールが体内にあるような状態があります。実は、高齢者の場合は1日3合くらいを飲んだだけで同様の状態になることがあります。つまり、高齢者の場合は少ない酒量でもアルコール依存症になりやすいのです」(樋口さん)

全国11の専門病院における受診者(アルコール依存症)に占める高齢者の比率
(厚生労働省 障害保健福祉総合研究事業「精神障害者の地域ケアの促進に関する研究」、平成19年度研究報告書 樋口班のデータより)

 「もちろん、社会全体で高齢者が増えていることも大きな要因です。そして、退職してやりたいことが見つからずアルコールに走ってしまうケースもあります。実際、 “ベビーブーマー”と呼ばれる団塊の世代の定年退職が始まった2000年代の前半から半ばに、高齢者のアルコール依存症の患者が増えました。こういった方々がみんな大量に飲んでいるわけではありません。繰り返しになりますが、少ない量でも依存症になることが多いのです」(樋口さん)

 樋口さんによると、高齢者になってからアルコール依存症になった人は、QOL(生活の質)が急激に下がるという。生活がだらしなくなる、転んでけがをする、家族に大声を出すなどして、家族から見放されてしまうケースもまれならずあるという。

 だが、その一方で樋口さんは「高齢者のアルコール依存症は改善する確率が高い」とも指摘する。つまり、高齢者はアルコール依存症になりやすいが、そこから抜け出しやすいというのだ。

 この理由について樋口さんは、明確な理由は分からないとしながらも、「アルコールを飲みたくなるという思い(衝動)は年とともに減っているのではないかと考えられます。また、退職して社会とのつながりが希薄になるので、会社の飲み会など“飲まなくてはいけないシーン”が減るのも理由の1つでしょう。人生経験が長く、若い世代よりご自分の行動を律するのがうまくなるのかもしれません」(樋口さん)

 このため、「シニアのアルコール依存症の方を抱えるご家族は決してあきらめないでほしい」と樋口さんは話す。

 実際、私の周囲でも70歳を過ぎ、パートナーをいきなり亡くし、寂しさからアルコール依存症に近い状態になった高齢者がいる。彼女は若い頃から酒を飲んでいたが、パートナーを亡くして以来、酒量が増え、夜中に大声を出したり、暴言を吐くようになった。しかし、身内の懸命な介護で断酒し、今は普通の生活を送っている。

酒好き医師が教える再考の飲み方

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