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年をとると酒に弱くなるのはなぜか?

シニアこそ気をつけたい「アルコール依存症」

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

加齢で酒が弱くなる2つの理由とは

 樋口さん、年を重ねると酒が弱くなるのは気のせいではなく、やはり本当なのでしょうか?

 「残念ながら本当です。多くの方が実感されていると思いますが、加齢とともに酒に弱くなっていきます」(樋口さん)

 はあ…。やはり気のせいではなかったのか。となれば現実に目を向けなければならない。となると知りたいのが、「年を重ねるとなぜ、酒に弱くなるか」という原因である。

 「原因は大きく2つあります。1つは加齢によって肝臓の機能が落ち、アルコールを分解するスピードが遅くなるからです。そうすると、同じ量を飲んだとしても、若い頃よりアルコールの血中濃度が高くなってしまうわけです。若い頃と同じ酒量を飲んで、翌日お酒が残っていると感じるのはそのためです。具体的に、分解スピードがどのくらい落ちるかというデータはありませんが、アルコールの分解速度が一番速いのは30代といわれています。その後は徐々に処理能力は落ちていくと考えられます」(樋口さん)

 加齢によって、見た目だけでなく、肝臓も年をとっているということか。確かに40代半ばを越えたくらいから、飲み過ぎた翌朝は、呼気などから明らかに酒が残っていると思うことが増えてきたように思う。そうしたこともあって、早朝に運転すると分かっている前日は深酒をしなくなった。

 「2つ目の理由は、体内の水分量の低下です。ご存じのように、人間の体内の水分比率は赤ちゃんの頃は80%と非常に高いのですが、加齢とともに水分比率は下がっていきます。そして高齢者になると50%台になってしまいます。アルコールを飲めば体内の水分の中に溶け込むわけですが、体内の水分量が少なくなると、アルコールを溶かす対象の量が減るわけですから、血中のアルコール濃度が高くなりやすいのです」(樋口さん)

体内に含まれる水分の割合
環境省『熱中症環境保健マニュアル2014』より
[画像のクリックで拡大表示]

 確かに若い頃に比べ、今は少量でも気分よく酔えるようになった。経済的といえば経済的なのだが、その原因の1つが体内水分量の低下だったとは…。確かに、年をとるにつれて、肌なども皺(しわ)が増え、乾燥しやすくなるなど、水分量が減っていることを実感させられるようになった。

シニアが飲酒後に転倒、さらには失禁するケースも

 アルコールを摂取することによって、脱水が進みやすいことにも注意が必要だと樋口さんは話す。

 「アルコールには抗利尿ホルモンの分泌を抑制する作用があります。つまり、利尿作用により、尿の量が増えるわけです。もともと体内水分量が少ないところに、アルコールを飲んでしまうと、さらに脱水が進み、血中アルコール濃度がより高くなってしまいます」(樋口さん)

 年を重ねても、気分は若い頃のままだと、ついムチャをしてしまいがちである。この連載でも何度か書いてきたが、お酒は水分補給にはならない。反対に脱水を引き起こす原因となるということを再度認識しておきたい。

 また、樋口さんは、飲酒により、ふらつきがひどくなって転倒する危険性が高まることにも注意すべきと話す。「高齢者はただでさえ転倒しやすいのに、飲酒でそのリスクがより高くなります。飲酒後の転倒が原因で骨折して、寝たきり生活になってしまうというケースもあります」(樋口さん)

 さらに、樋口さんによると、高齢者の場合、アルコールの飲み過ぎで尿や便を漏らしてしまう人も少なくないのだという。こうした失敗は自信喪失にダイレクトにつながるので、年を重ねるほど酒量を減らしていかねばと思う。

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