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左党の一分

「命の危機」を感じた冬の飲酒後の入浴

恐ろしいヒートショック! 避けるには「ぬるめのシャワー」を

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

アルコールは一時的に血圧を下げる

 ここまでの説明で、室温と浴室の寒暖差が大きい冬場の入浴が、いかにカラダの負担になるかがよくわかった。しかし、これはアルコールを飲まない状態でのこと。同じ環境下でアルコールを飲んで入浴するというのは、どれほどの危険性を伴うのだろうか? 梅村さんはこう説明してくれた。

 「飲酒には、“一時的”に血圧を下げる作用があります。アルコールを飲むと、アルコールの代謝生産物のアセトアルデヒドの血中濃度が増えることで、血管が拡張し血圧が下がるのです。この血圧低下に反応し血圧維持のため、交感神経系が活性化し、脈が増加すると考えられます」(梅村さん)

飲酒後は一時的に血圧が下がる
高血圧の人がお酒を飲んでいるとき(通常飲酒時)とお酒を控えたとき(飲酒制限時)の血圧の変動。夜間にお酒を飲んだ後は血圧が低くなる傾向が見られた。一方、日中の血圧は高くなる。(臨床高血圧 2000;6:14.)

 「飲酒時は普段よりも血圧が下がっています。これにより、飲酒後の入浴は、血圧のアップダウンの変化の幅がより大きくなる危険性があります。『飲酒後』+『寒い季節』の入浴はより一層危険です。また、飲酒後は、アルコールによって意識が朦朧としているため、危機管理能力も低下しており、これがさらに危険度を高めてしまうと考えられます」(梅村さん)

 この話を聞いて、筆者が体験したヒートショックの原因が見えてきた。アルコールを飲んで一時的に血圧が下がっている状態で、温かい部屋から、暖房なしの寒い脱衣所で着替え、44度の熱々の湯船に一気に飛び込んだことで血圧が急上昇し、その後湯船に浸かっているうちに急降下したのだろう。そして、血圧が下がっているところで、勢いよく立ち上がったから、めまいがしたのだ。私の場合は運よく溺死に至らず、けがもしなかったが、「もう少し高齢だったら、意識を失いそのまま倒れて溺死されていたかもしれません」と梅村さんは話す。―考えるだけで背筋が寒くなる。

常日頃から飲んでいる人ほど、血圧は高くなる

1日当たりのアルコール摂取量と血圧の関係
アルコールの摂取量が多いほど、血圧は高くなる。なお、ビール大びん1本、ワイン2杯程度がアルコール30mLに相当する。(Circulation.1989;80:609.)

 梅村さんによると、特に筆者のようなアルコール常飲者は注意が必要で、さらには「定期的に血圧チェックを欠かさないほうがいい」という。それにはこんな理由があった。

 「アルコールと血圧の関係性は深く、常日頃から飲んでいる人ほど高くなる傾向にあります。1日あたりのアルコール摂取量に比例して血圧が高くなります。これは人種や酒類に関係なく共通して言えることです」(梅村さん)

 先ほど、飲んだ後に血圧が下がると説明したのは、飲酒直後の一時的なもの。日々お酒を多く飲み続けると、恒常的な高血圧につながるのだ。

 さらに梅村さんは、こう畳みかける。「現在、国内の4300万人が高血圧といわれています。そもそも血圧は年齢とともに上昇する傾向にありますが、仕事上のストレスが多い50代男性は一気に高血圧が増えます。アルコール常飲者は今は高血圧ではなくても、今後高血圧になる可能性が特に高いのです」(梅村さん)

 確かに思い返すと、私の周辺の左党の多くは高血圧を抱えている。酒豪ほどその傾向が高く、50歳を超えたあたりから増えているように思う。左党の場合、今は正常値でも安心できないのだ。

酒好き医師が教える再考の飲み方

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